銀時×土方2

□家庭円満の秘訣
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「銀時のお父さんとお母さん?」
「そう。もうちょっとしたら帰ってくるんだ。だからお前はここで大人しくしてろ」

どうにか修復した部屋でだらりと伸びていた銀時は、トーシローに今から両親が帰ってくる旨を告げた。
すると突然トーシローの瞳が、これでもか!というほど煌きだしたのだ。こういうときは碌なことが起きない。僅かな間に学習した銀時は先手を打ったのだが、途端にトーシローは頬を膨らませてむくれた。

「俺、挨拶する」
「せんでええわァァァ!!」
「だって、俺、銀時のお嫁さんになるから、ちゃんと挨拶しないと……」

もうすでに彼の中では決定事項らしい。銀時は胡坐を掻きながら、ズクズクと痛み出したこめかみを押さえた。

「あのな。オメェんとこはどうかしんねェけど、こっちの世界は男同士で結婚はできないの」
「え?でも銀時はオオエドに来て、俺をお嫁さんにしてくれるんだろ?」
「俺は坂田家の跡継ぎだから、婿養子は無理!」

すでに同性同士だから、というのは、断る理由にはならないらしい。なら、これならどうだと、言ってみると、案外とこれは効いたらしい。トーシローの顔には、ガーン!と書いてある。ガックリと項垂れたトーシローは、しかししばらく考えた後、がばりと顔を上げ銀時を見据えた。その顔は余りにも真剣で、銀時は思わず身構える。

「じゃぁ、俺、女の子になって、こっちで銀時のお嫁さんになる」
「ハァァァ?!」

何、とんでもないこと言い出すのだ。しかも女の子になるってそんな簡単に……!!
ソーゴにちらりと目をやると、彼は呆れたような顔をしながらも、うんと頷いている。
ということは……

 できちゃうわけかァァァ?!

魔法使いというのは、なんと非常識なんだ!!
銀時がうがァァァ!と喚いていると、ガチャリと施錠を解く音が聞こえ、続いて扉が開いた気配がした。

「銀時ィィ!!ただいまァァァ!!」

陽気な大声が響き渡る。銀時の顔が引き攣った。どうやら、話題の中心人物がご帰宅のようだ。

「いいか?!絶対に出てくるなよ!!顔見せたら、マジ追い出すからな!!」

銀時はとりあえずそう言い置いて、慌てて後ろも見ずに部屋を出て行った。だから気付かなかったのだ。トーシローが瞳を潤まし、ひどく傷付いた顔をしていたことに……。




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