銀時×土方2

□好奇心は猫をも殺す
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――――― 坂田月光の母は、謎である。

と、月光が通う保育園で、実しやかに囁かれている。
現に月光の母を見たことのある人物は、保育園にはいなかった。
保護者が参加する行事に出席しているのは、いつでも父親だという銀髪の男だ。勿論送り迎えも彼がやっている。
もしかして、すでに鬼籍に入っているのではないかという、憶測まで飛んでいた。
しかしそれは、どうやら違うようだ。
自分たちでは聞けない親たちが、子供を使って聞いたところによると、ちゃんと生きていると返事が返ってきた。
月光曰く、仕事がとても忙しいのだという。何の仕事をしているのかと子供に聞かせると、月光は首を捻って『正義の味方』と答えたらしい。
母親たちは益々もって、分からなくなった。
家に遊びにいくと言っても、保育園は帰宅が遅い。しかも迎えに来るのが父親だから、母親達が気軽に話し掛けも出来ないのだ。
こうなれば子供だけでもと、遊びに行かせても、全く母親の痕跡はないのだと言う。
子供達も不思議に思っていたらしく、自主的に父親に聞いたらしい。すると彼は子供でも引くほど鼻の下を伸ばし、延々と子供たちが泣いて嫌がるまで妻の惚気話をしたのだと、子供たちは涙ながらに訴えた。
ここまで来ると、母親たちは意地である。どうしても、月光の母の正体を掴みたい。
いつの世も、げに恐ろしきは女の好奇心である。





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