銀時×土方2
□猫にマタタビ
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案の定、トーシローは迷った。大学の構内はとても広い。そんな場所で一人を探し出すなど、土台無理な話だ。
何度かこっそりと魔法を試みたが、いずれも失敗してトーシローは肩を落とした。自分と銀時は赤い糸で結ばれているはずなのに、何故出会えないのだろう。トーシローは泣きたくなった。
その時だ。後ろから突然肩を叩かれたのは……。もしかして銀時が自分を見つけてくれたのかと喜色満面に振り返ると、そこに立っていたのは、昨日ハンカチを貸してくれた男だった。
「あ……」
「誰か探してるんですか?」
ニコニコと話し掛けてくる男にがっくりしかけるが、ハッともしかすると銀時のことを知っているかもしれないと、気を取り戻した。
「えっと。坂田銀時を探してるんだけど、知ってる?」
ことりと首を傾げて上目遣いにそう尋ねると、男は突然鼻を押さえて天を仰いだ。男のその行動を、トーシローは不思議そうに見詰める。
「どうした?」
「な、なんでもないです。えっと、坂田さんなら次の講義が一緒なんですけど、一緒に行きますか?」
やはり自分と銀時は赤い糸で結ばれているのだ。でなければ、こんな幸運があるわけがないと、トーシローは嬉しそうに花が綻ぶような笑みを浮べる。すると同時に、目の前の男の押さえていた鼻から大量の血液がバタバタと音を立てて零れ落ちた。
「うわっ。な、なに?大丈夫?」
その惨劇にトーシローは目を瞠る。男は情けない顔をして、大丈夫です、と返事した。
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