銀時×土方2

□苦労は買ってでもしろ
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怒涛の一日がようやく終えようとしていた。すでに坂田家は寝静まりかえっている。一室を除いては……。
何でこんなことになったんだろう、銀時は腹立ち紛れに頭を掻き毟りながら、一人レポートと悪戦苦闘していた。
本当なら昨夜の内にレポートは仕上がり、今日一日は両親のいない最後の日であったから、ここぞとばかりにダラダラと寝て暮らすつもりだったのだ。
それなのに朝から寝不足の体に鞭打って肉体労働に勤しみ、それなのに帰ってきた両親(というか、母親一人)に扱き使われ、レポートは仕上がらず、日にちが変わろうとする現在に至っても未だ寝ることも叶わない。
この仕打ちはなんだ?!一体自分が何をしたというのだろう。
しかしそんな風に嘆いてみせても、レポートが終わるわけでもない。
銀時はほぉっと嘆息を落として、立ち上がった。
眠い。ここは一つ、コーヒー牛乳でも飲もうと台所に向かった。
その途中にある両親の寝室。その前で銀時は立ち止まり、じっと扉を見詰めた。
自分がこんな羽目に陥った元凶。それは現在、この中にいる。
母、シルヴァーナは一目見てトーシローを気に入った。そうなるだろうとは、予測していたのだ。母の黒髪フェチを銀時は痛いほど知っていた。なら何故父と結婚したのだろう?父はクウォーターで黒髪から遠く離れている。一度聞いてみたいのだが、恐らく余計なことは聞くなと殴られる予感が満載のため、実行したことはなかった。
母に気に入られたトーシローが一緒に寝ようと言われて、頬を桜色に染めてこくりと頷き、銀時に嬉しそうにバイバイと手を振り出て行ってからすでに二時間。
どうしようもなく理不尽さを感じるのは、自分が狭量だからだろうか?
どうも腹の虫が納まらなくて、様子を見るためにそっと扉を開けた。そこは和室で布団が敷いてある。ちなみに母は和風が大好きだ。
中の光景を見て、銀時はガックリと項垂れた。二つくっつけて敷いてある布団の上で、銀時の両親に挟まれてすやすやと寝息を立てるトーシロー。所謂、川の字だ。

 オメェは俺の嫁じゃなかったのか?!

自分が認めたがらなかったくせに、思わずそう詰ってしまう。
銀時はそのまま見なかった振りをして、そっと扉を閉めた。腹の虫は納まるどころか、逆に猛然と暴れだす。
銀時はぐっと腹の下に力を込め、台所に向かった。





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