銀時×土方2
□傍迷惑な猫可愛がり
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じっと見つめてくる視線が、背中に突き刺さる。
くるりと振り返ると、それはフイに逸らされ、白皙の頬に朱が走った。その繰り返しだ。
いい加減にしてくれェェェ!!
銀時は心中で絶叫したが、決して本人には告げなかった。そんなことをすれば、またもやうるうる攻撃を食らってしまう。その威力や絶大で、先ほど食らったばかりの銀時は、勘弁してくれェェェ!というのが正直なところだった。
銀時は、レポートを仕上げている最中である。週明けに提出しないと単位がもらえないので、それなりに切実だ。
それなのに、なんなのだ。この現実は……。
天井は穴が開いたまま、晴れ渡った夜空が見渡せる。
あ、そうだ
これをどうにかしなければ……。
現在、この家には銀時しかいない。両親は銀時一人を置いて外出中だった。不幸中の幸いである。
銀時の母親は、北欧はノルウェーの出身だ。ちなみに父は日本人とアメリカ人のハーフで、銀時の生まれ付いての銀髪は母方譲りだった。
両親はその母方の実家に帰省中で、明日帰宅する。それまでに天井を直しておかなければ、何を言われるか、分かったものではない。
と言っても、別に銀時のせいではないのだが……。
それもだが、この目の前の二人、と言っていいのか、一人と一匹と言えばいいのか。(一匹と言えば、恐らくその本人はにっこり微笑みながら報復を仕掛けてくるだろう)これの説明をどうすればいいのか?
頭を抱えたが、今はとりあえず差し迫った問題を解決せねばなるまい。
そしてふと先ほどの会話を思い出し、銀時は再びくるりと振り返った。
途端にバッチリと合った視線に彼は真っ赤に顔を染め、恥かしげに俯く。
見ると耳の後ろまで紅潮していた。パチリと瞬かれる睫は長く、壮絶な色香を放っていたが、今はそんな場合ではない。
「え〜っと。トーシローくんだっけ?君、本とに魔法使えるの?」
そう尋ねると、顔を上げたトーシローはじっと銀時を見詰めてから、小さくこくりと頷く。
話し掛けられたのが嬉しいのだろうか?妙にその瞳はきらきらと煌いていた。
そのさまはとても可愛い。ノーマルである自分が見ても、整っている顔立ちの彼のその仕草には、ぐっとくるものがある。それを誤魔化すように、銀時はこほりと咳払いした。
ダメだ。ここで流されては……。これ以上、自分の人生設計を狂わせるようなことをしては、将来後悔をするのが目に見えている。
「ならさ。その魔法でちょちょいと、これ、直してよ」
天井を指差して言うと、トーシローとソウゴがその指につられるようにして上を見上げる。
それにソウゴは、あ〜あ、と声を出した。
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