銀時×土方2

□一番好きといって
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十四郎はもうすぐ一歳を迎える。
他の子供より発育が早いようで最近では歩けるようになり、目が離せない。
しかし小さな体がよろよろと歩く姿がまた愛らしくて、ついつい銀時の頬は緩んでしまうのだ。

「銀さん。そんなだらしない顔で十四郎を見ないでちょうだい」
「えぇ?!いいじゃん、別に……!だって可愛いんだもん!!」

そう言いながら庭で歩く十四郎を見るその顔は、やはり百年の恋も冷めそうなほど鼻の下が伸びきっており、妙は思わず嘆息を落とした。

「それよりもこんなところで油を売っていていいんですか?家賃さえ払えないって、しんちゃんが嘆いてましたよ」
「ん?大丈夫、大丈夫。仕事は夜することにしたんだ。だって、夜は十四郎に会えないし……」

少しでも十四郎といたいから、彼が寝ている夜の間に働くことにしたという。銀時の世界はどこまでも十四郎中心で回っているらしい。妙はすでに諦めの境地だ。

「ぎぃっ!」

それでも十四郎はそんな銀時でも大好きだった。まぁ、子供にとってはどれだけ銀時がマダオであっても関係ない。いつでも遊んでくれる優しい人、と認識すれば懐いてしまう。
特に十四郎はいかつい男たちに囲まれて育ったから余計かもしれない。人見知りというものをしたことがなかった。確かにあんな強面の男たちを見ていたら、普通の人間は誰でも優しそうに見えるのだろう。
とてとてと歩いてくる十四郎。赤ん坊らしく頭が重いのか(と言っても十四郎は、他の子供に比べてばずいぶんと小顔だ)、今にもこけそうで見ている銀時はハラハラする。
それでも先に抱き上げてしまうと、また妙から怒られてしまうのでぐっと我慢した。いつでも銀時は甘いと、注意を受けているのだ。




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