nobel(その他)

□星に願いを(千歳×越前)
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俺は、する事も無かったからリビングで何となく風に揺れる笹を見つめていた。

ケータイに電話がかかってきたのは丁度その時。

他の人とは違う着信音。

それは、彼からの電話だという事を意味している。

なるべく嬉しさを押さえて、いつもと同じ調子で電話に出る。

「千歳さん…?」

『…忙しかったけん、なかなか電話できなくてすんまっせん。』

「…一昨日も電話しなかった?」

『丸1日置くなんて有り得んたい。』

その言葉に、多少の呆れを感じたものの、溺愛されてるんだと感じ、嬉しくなった。

『ところで…、今日は七夕ばい。』

嬉しそうな調子の声が聞こえて、自然と嬉しげに微笑む千歳さんの顔が目に浮かぶ。

『織姫さんと彦星さんが願い事叶えてくれるとよ?』

「そっスね。」

『短冊に願い事書いたと?』

数秒間、笹と共に揺れる短冊に目をやる。

今日の昼に先輩達が書いていった短冊と一緒に俺が書いた短冊が揺れているのが見えた。

「…俺がそんなにロマンチストに見えるっスか?」

『……見えんたい。』

大体、七夕とか願い事とか、俺のがらじゃない。

でも…

「…嘘っス。ちゃんと願い事書いた。」

『何ば願ったと!?』

凄い勢いについつい苦笑する。

「1つ目はもっとテニスが上手くなるように、2つ目は……教えない。」

『ちょ…それは酷か!教えてくんなっせ!』

「絶対教えないっス!!」

だって2つ目の願い事は…

ひっくり返って此方を向いた短冊を見て、微かに笑う。

「千歳さんには絶対秘密だから。」

『ほんに何ば願ったとっ?』

その時、外から親父が俺を呼ぶ声が聞こえた。

「あ、親父に呼ばれてる。じゃあ千歳さん…願い事、叶うと良いっスね。」

そう言って、通話を切る。

短冊のひもの結び目がほどけかかっているのに気付き、結び直そうと短冊を見る。

『千歳さんがずっと俺の事を好きでいてくれますように』


―願い事が叶いますように…
星に願いをかけよう
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