*〜ASTERISK〜
□World Of Mirror
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「イルミ、イルミ!何処にいるの!?」
「母さん、どうしたの?」
「実は侵入者がいるらしいのよ。ミケから他の人間の匂いはするけど、血の匂いはしないって」
「それは大変だね。ミケは何処にいるの」
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「イルミ兄さん!」
「母さんから全部聞いたよ。それでミケは?」
「あそこ。でも、何でミケはソイツの事攻撃しないの?」
「考えられる理由は二つ。一つ目はミケが操作されている。もう一つはソイツが相当な念能力者。ミケは賢いし、オーラも見えているから自分が殺されるかもしれないと思った念能力者には従うんだ」
「イルミ兄さんはどっちだと思う?」
「俺は後者かな。見た感じでは操られてる様子ではないし。ミケ、こっちへ来い!」
ミケが凄い速さで走って来て、イルミのすぐ前で止まる。
イルミはミケをなぜながらこう言った。
「ミケ、お前が懐いている奴を今すぐここに連れて来い」
ミケは初め、戸惑いの色を見せたが、やはり忠実な番犬、すぐさま走っていった。
*********
サラは小屋の前でぼーっとしていた。
「そろそろここを離れなきゃな……。さぁて、何処へ行くやら。あっ、ミケ!」
ミケがサラに向かって走って来る。と、思っていたらサラを口にくわえ、もと来た道を引き返す。
「ちょっ、痛いっ。ミケどうしたの!!」
サラは恐怖のあまり、意識を手放した。
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「んっ、ここは何処?」
四面八方コンクリートに囲まれたその部屋で、サラは手錠と足枷をはめられていた。
「やっと起きたね。じゃあ、早速質問だけど、痛い目にあいたくなかったら早く答えてね。君はどうやってうちの家の敷地内に入り込んだの?」
無性に涙が溢れ出した。
「………あたし………………此処では無い……他の世界から来たの………」
怖くなって叫ぶ。
「ミラー!!コイツを………吸い込め!」
鏡が現れた瞬間、イルミは鏡に向かって針を投げ、鏡を割った。
「うぐっ……」
(鏡を壊された時あたしにダメージが来るんだ…)
「かなりのオーラ量だね。でも、乱れてる。君の言う事は信じるよ。昔、何かの本で読んだ事がある」
「ほん………と…う…?」
「ああ。君をどうするかは、親父が帰って来てから決めるよ。それまでは独房で大人しくしてて」
と言って、手錠と足枷を外してくれた。
「あっ………りが……と…う…!」
部屋を出て行こうとしているイルミにこう言った。
「食事はまた持って来るから。あっ、忘れもの」
再びサラの方へと歩いて来ると、へたりこんでいるサラの顔を少し持ち上げ、軽くキスした。
サラが慌てていると、イルミは何事もなかったかの様に独房をあとにした。
それはサラにとってファーストキスだった。
〜END〜