*〜ASTERISK〜

□Prologue
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今、思えばすべてはそこから始まったのであった。







「あぁ!もうこんな時間。もうあの鬼コーチ厳しいんだから!急いで帰らなくちゃ」


一人の女子中学生が暗い夜道を走っていた。周りには誰にもいなかった。


他に人がいなかったのが運がよかったのか、悪かったのか……


慌てて走っていると後ろから奇妙な音が聞こえる。誰もいないはずなのにパタパタという足音が。


少し止まるとすぐにその音も止まる。しかし、タイミングは明らかにずれていた。

怖くなって小走りする。足音も確実に早くなる。どうしよう、逃げ込める様な場所ないしっと思っていたら……









捕まってしまった。
叫ぶ暇もない。


「っっ!」
「おい、大声だすなよ。すぐに楽にしてやるからなぁ。へへへへっ」





(あぁ、あたしここで死ぬんだ。お父さん、お母さん、お姉ちゃん、みんな今までありがとう。もっと永く生きたかった……)


心の中で呟いたら、気分はすごく落ち着いた。でも、眼からは涙がとめどなく流れ落ちつづける。



「へへっ、じゃあいくぜ」

首に鋭利な物がつきてられる。





(嫌だ!まだ死にたくない!)


心の中でそう叫んだ瞬間周りが急に明るくなった。



(あたしもう死んだんだ。……………ちがうっ!)





《黄泉の鏡(ディスティニー オブ エンド )》





恐る恐る眼を開けて見ると、光り輝く“鏡”に男が吸い込まれていく。
一瞬の出来事だったのに衝撃的過ぎてとても長い時間に感じられた。



「えっ、何これ!うそっ!」




男が完全に吸い込まれても、鏡はなお光り続け、そこにある。

鏡に手を伸ばしてみる。触れた感じはなんの変哲もない鏡だが、少し力を加えると吸い込まれていく。



怖くなって手を引っ込める。



もう一度手を伸ばす。今度は深く。



完全に鏡の中に入った。中は真っ暗で、何も見えない。

とりあえず前に進もうとしたが進めなかった。

目に見えない壁に阻まれているようだった。




仕方ないので鏡の外に出る。案外簡単に出られた。


気分が落ち着き、心の中で消えろと叫ぶと鏡はいとも簡単に消えた。


*********



それから数日の間、再び鏡を呼ぶ方法を探した。



ただ心の中で呼べば現れるかと思ったが、それだけでは足りなく、『ミラー』と念じる必要があった。


しかしその方法でも少し時間がかかってしまい、一番早いのは口で直接「ミラー」と叫ぶのだということがわかった。




その他にも呼び出した鏡は他の人には見えないということがわかった。


(でも、なんであの時鏡が現れたんだろう。これは実践あるのみか!)
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