頂き物
□迷走らびりんす
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「黒鋼〜♪」
「なんだ白饅頭」
黒鋼の名前を呼びながらぽ〜んと頭上に乗っかってきたモコナ。
「うふふ☆あのね〜モコナ、黒鋼にとってもいいものあげようと思ったの!」
「いいものだと?」
聞き返すと、モコナはふっふっふっと怪しく笑い、
「そ!侑子からのプレゼント〜♪」
言うが早いか、ぴょ〜んと高く飛び上がる。
「モコナ=モドキもドッキドキ〜〜〜☆」
本来ならば小さいその口が大きくごばぁっと開かれ、あるモノが次元を越えてやってきた。
それは…
ピンク色の可愛らしいうさ耳一組。
「……は?」
惚けたように一瞬言葉を失った黒鋼の隙を突き、そのうさ耳は光の速さの如くスピードで黒鋼の頭にぺたん、と引っ付いた。
「んな!?」
「ウフフ★黒鋼可愛い〜vV」
モコナの声に我に返り、慌ててそれをひっぺがそうとするが、取れない。
「あででっ、ンだこりゃ!?」
「それは貴方の力じゃ取れないわよ」
何処からともなく、聞き覚えのある高慢な声が響き、地面に光輝く魔法陣が浮かび上がる。
空間が捩れ、その中から、一人の女性が現れた。
漆黒の長い綺麗な髪をなびかせ、その口元に意地の悪い笑みを浮かべた、通称次元の魔女――又の名を、壱原侑子その人が。
「取れねぇって、どういうことだっ!」
侑子が次元移動して来たのも全く意に介さず、黒鋼は噛み付くように問いかけた。