捧げ物1

□ある時ある世界での出来事
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小狼達が阪神共和国に来たその日の晩、一人の青年の叫び声が小さな宿舎から響き渡った…。











「黒鋼さんって、女性だったんですね」

朝になり、初めての街を歩きながら小狼が確かめるように話を切り出す。
目の前には恰好こそは男であるものの、長い黒髪をなびかせた長身の女性が紅い瞳をきょろきょろ動かして物珍しそうに辺りの景色を満喫していた。
小狼の隣には黒鋼の秘密を一番に知り、昨日驚きのあまり絶叫したファイが何故か満面の笑顔で共に歩いている。

「なんとなく抱き付いたら胸があって驚いたよー。柔らかかったけどv」

(なんとなくで男性だと思ってた人に抱き付くのかこの人はι)

ちゃっかり感触まで楽しんでいる辺り羨ましいと思わざるをえない(ェ)
何せ昨日はマントで隠れていてわからなかったが、黒鋼は美人でありかなりの巨乳&美乳であったから。
身長もあるし、足も手も綺麗に整っている。
小狼から見ると何処をとってもまるで欠点がなかった(強いて言うなら目付きの悪さか)
男である限り、このような女性を放っておくワケがないだろう。

「小狼くーん、君にはサクラちゃんがいるから心配ないと思うけど、黒様は俺がもらうんだから手出さないでよね?」

「さくらは大切ですがただの幼なじみですよ。俺だって彼女を狙ってるんですから」

釘を刺したつもりが火に油を注ぐ行為。
昨日出会ったばかりなのに早速敵対心を燃やし、ファイと小狼は火花を散らた。
そんな二人をよそに黒鋼は八百屋のおじさんに声をかけられている。
全くもって連れ達の様子に気付いていなかった。
幸先の悪い旅のスタートである…。








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