捧げ物1
□『繋』
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―――ねー、黒様って可愛いよね〜
―――ああ?どこが
―――全部。君の持ってるもの全てが可愛くて、眩しくて、素敵だな〜って思う
―――そうゆうくさいセリフは女に言え。俺に言われても気持ちが悪いだけだ
―――酷いな〜、俺は本気なのに〜
―――余計に気持ち悪ぃよ
―――でもね、黒様
―――あ?
―――人は醜く貪欲だから、一度欲しいと強く願ったらどこまででも堕ちるんだよ…
「ぁッ!は、ぅん…」
左足と右腕に付けられた鎖が揺さ振られる度に金属音を立てる。
ベッドの上で四つん這いにされ、後ろから攻められて黒鋼は辛そうに顔を枕へ沈めていた。
「顔上げなよ」
「ぁあ!」
無理矢理顔を上げさせられて後ろから耳を甘噛みされれば敏感に反応を見せる。
繋がれていない左手を後ろに拘束し、力任せに突けば一層高鳴る喘ぎ声。
それによって愉しそうに笑うファイの様子なんてわかるはずもなく、瞳を堅く閉ざして強姦混じりの性行為に必死に耐えていた。
鎖に繋がれ、仲間であるはずの男の手により部屋に閉じ込められたのはいつの事だったか。
つい最近のような気もするしかなり前のような気もする。
気付いた時には籠の中の鳥、外に出るどころか一歩も部屋から出させてもらえない状況。
食事はちゃんと与えられるし最低限度の生活はさせてもらえている。
だけどいつまでもこんな狭い所に入れられて気が狂いそうだった。
運動と言えるものといえば、毎日こうやって組み敷かれる性交のみ。
前までは快楽だったこの行為も今では苦痛としか言い様がない。
無理矢理抱かれ、相手の気が済むまで長時間犯され続けている。
いつまで耐えればいい?
そんな言葉がいつも黒鋼の頭をよぎっていた。
「はッ、んぁ!」
「何考えてるの?」
早く終われと願っていた矢先、耳元に響く怒りを含んだ彼の声。
薄く開いた眼を向ければやはり機嫌が悪そうに表情を歪めている。
動きも止まり、挿入されたまま後ろから覗き込まれる形になっていた。
「、いつまで、こうしてなきゃならねぇ…」
呼吸を乱しながら睨めば暫くの間沈黙が続く。
蒼い瞳は相変わらず何を考えているのかわからず、黒鋼は彼の思考を読み取ることができない。
直接口から答えが出るのを待っていたが聞かされることはなかった。
突然笑ったかと思うと力ずくでベッドに押し付けられ、行為が再開される。
「ぁッ!や、あ!」
決して優しくはない打ち付けに思考が途切れ、声だけが無意識にあがった。
見開いた目から生理的な涙が零れ落ちる。
接続部から響く水音は徐々に大きくなり、黒鋼の全神経を麻痺させていく。
脳を揺さ振るようなきつい刺激に呼吸もままならなくなってきた。
「君は大人しくされるがままになってたらいいの」
音に混ざるのは嬌声と温かみのない言葉。
快感とは呼べない性的快楽を与え、黒鋼を追い詰めていく。