捧げ物1
□翼学園ストーリー
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緑に囲まれた土地にそびえ立つ「翼学園」。
ここでは毎日「ある事」を巡って争いが起きていた…。
「優勝おめでとう」
昼休み、満面の笑顔でそう言ってきたファイに黒鋼は思わず溜息。
別にその言葉に不満があるわけではない。
むしろ逆に嬉しさが込み上げるのは間違いないのだが…。
「女の子なのに剣道部主将。全国大会優勝して将来有望。地位良し美貌良し人気あり文句なしの学園マドンナ。さっすが黒様!」
「いいから離れろ。そして誰がマドンナだ」
白昼堂々廊下で抱き付かれてかなりご立腹。
首元に絡み付いているファイを強引に引き剥がし、そのままポイッと捨ててしまった。
転がっていく彼を放っておいて再び廊下を歩き出そうとする黒鋼。
だが。
「こんにちは、お会いしたかったですよ」
「…………」
またしても障害が出現。
ファイとはまた違うにこやかな笑顔を浮かべ、なぜか真っ赤な薔薇の花束を抱えている星史郎がどこからともなく湧いて出た。
あまり関わりたくないと思うがその花を手渡されてそうもいかなくなる。
「先日の全国大会お疲れさまでした。本当は表彰式の後すぐにでもこれを渡したかったのですが生徒会の仕事が溜まっていたので遅くなってしまいました。今更ですが受け取って下さい」
「いらねぇ」
「お詫びとして花をもう十本ほど追加しています」
「どうでもいい。つか聞けよ」
「遠慮なさらなくていいですよ。これは僕の気持ちのほんの一欠片を形に表したものですから」
なんとまあえらく回るその口に呆れながら演説中の星史郎を素通りする。
そしてたまたま近くを通りかかった女生徒の一人を呼び止め、たった今もらったばかりの花束を差し出した。
「やるよ」
「え…///」
「狽ヲっ!!?ι」
渡された女子は嬉しくて顔真っ赤。
渡した星史郎はショックで顔真っ青。
これはかなりの見物である。
現に先程黒鋼に放り投げられたファイも、自分の事を棚に上げて手を口に当て、思わずニヤニヤしている程。
「フラれちゃったね〜生徒会長さん」
「そういう君もあしらわれているじゃないですか、副会長さん」
売り言葉に買い言葉。
落ち込んでいる星史郎にファイが面白半分で声をかけ、至近距離で火花を散らした。
二人の周りには無意味なほど熱い炎が燃えたぎっている。
焼き芋が焼けるほど熱いです(笑)