捧げ物1

□独占欲
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最近なぜかあのヘラ魔術師を見る度に異様に苛つく。
別に一人でいる時なら何も感じない。
だけど小僧や姫や、白まんじゅうがべったりくっついてる時なんかどうしようもない怒りに駆られる。

らしくないとは思ってる。
だけど理由がわからないから手の施し様もなくて。
いつも近くの物に当たって解消しようとしてるがそれでもなぜか治まらない。

胸が締め付けられる。
むしゃくしゃして落ち着かない。


これは一体何なんだ…?










「黒様、最近俺をよく睨んでるよねぇ?」

ガキ共が寝静まって二人で酒を飲んでいた時、唐突に隣にいたコイツが口を開いた。
目を向ければアルコールが回って僅かに火照った頬を困ったように掻いている。

「そうか?」

「だってよく痛い視線を感じるんだも〜ん」

気付いてたのか。
何となくそう思いながら持っていたグラスに口を付ける。
冷たく刺激のある液体が食道を通り、体内に流れていくのを感じた。
ある程度の量を飲み込み、遠くを見つめながら奴の言葉に耳を傾ける。

「なんかよくわかんないけど、俺黒ぽんの気に障る事でもした?」

「毎日してんじゃねぇか」

「いや、日常茶飯事の事柄を除けて何か特別に怒ってることとか〜」

相変わらず間延びした口調が少し焦りの色を見せているのがわかる。
それに少し気を良くしてわざとつっけんどんな返事を返す。
そうしたら更に困るその様子がたまらなく可笑しい。
いつから俺は他人を苛める事に愉快さを感じるようになったのか…。
恐らくコイツ限定ではあるだろうが。

「モコナも最近の黒りん怖〜いって言ってたよー」

―――ピタッ

白まんじゅうの名が出た時、まるで暗示をかけられているかのように躯の動きが止まる。
口元まで持ってきていたグラスを戻して首を横に向ければへらへら笑いながら気にせず言葉を続ける。

「小狼君も様子がおかしいって言ってたしー、サクラちゃんも心配してたよー?」

だから教えて?と言いながら俺の方に目を向け、途端驚いたような表情を見せる。
俺自身も気付かぬ間に二人の距離を縮めていたようで、少し前に倒れればキスできそうなほど至近距離にお互いの顔があった。
丸くしているコイツの目をジッと見つめ、持っていたグラスをテーブルに置いて相手のも奪い取る。
それを一気に口内に含み、アホ面している魔術師の、半開きになったそこに流し込んだ。

「ん……」

完全に塞いで零れないよう少しずつ相手の方に移していく。
時間をかけて全て飲ませ、その後暫くキスの味を堪能してからゆっくり唇を離す。
お互いの舌を銀糸が繋いでいるのが真っ先に目に映った。

「黒様、どうしたの?」

「……別に」

俺らしからぬ突然の行動に尋ねてくるがそっけなく返す。
ガキ達の名前が出た瞬間なぜか心臓が不思議な動き方をして、喉元に何か引っ掛かったような違和感さえも感じる。
無性に腹が立つ、といえばいいのだろうか。
理由のわからない怒りにどうすればいいのかわからず、ソファから立ち上がってコイツ……ファイの真正面で膝を付いた。
本能のまま奴のベルトを外しにかかれば相変わらず大きな目を更に大きくして見下ろしてくる。

「え?何、盛ってるの?」

「るせぇよ」

違うだろう推論を否定することなくそれだけ言い、奴自身を取り出して躊躇なくくわえた。
フェラはあまりやったことがない。
だけど俺なりに懸命にソレを扱い、舐めたり吸い付いたりを繰り返す。
そうしたら次第にファイの息遣いが荒くなってくるのがわかってなぜか嬉しかった。

「ん…ふ、」

「ハァ……なんか積極的だね、今日の黒様」

いつもとのギャップのおかげかコイツの口調がやけに楽しそう。
ファイもまた嬉しく感じてるのか俺の髪に指を絡ませ、好きなようにさせた。
だから遠慮なく大きくなってきた中心を口に含み、舌を絡ませながらたっぷり味わっていく。





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