ツバサ
□さくらんぼ日和
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「おいしいですねこのさくらんぼ」
口に赤くて小さな果実を含みながらのサクラの言葉に小狼がそうですねと返答をした。
モコナは美味しいを連呼しながらかなりの早さで食べていき、黒鋼も無言のまま淡々と平らげていく。
ファイは少し用があると言ってたった今席を外したところだ。
「そういえばさくらんぼの茎を舌で結べると良いことがわかるって侑子が言ってた!」
突然思い出したように発言したモコナに全員が振り返る。
「良いことって何だよ」
「それは出来てからのお楽しみv」
黒鋼の質問を簡単にかわして小狼とサクラの口に余っていた茎を放り込んだ。
そのすぐ後に黒鋼のにも素早く放り投げる。
「さあ、誰が一番早く結べるか競争競争!」
よーいドン!と勝手に始め、自分も茎を加えて一生懸命結び始めた。
モコナに舌があるのかどうかは謎だが…(きっとあるんだろう)
その様子を見て他の三人も口をもごもご動かしてみる。
暫くはそれに熱中して誰も一言もしゃべらず、静かな時間が過ぎていった。
「あ、できた」
数分して口を開いたのは小狼だった。
口内から茎を取り出してみると確かにちゃんと結べている。
「俺もできたぜ」
いまいち乗り気じゃなかった黒鋼も舌を出し、そこに乗っている茎を机に放り投げた。
「小狼いっちばーん!黒鋼にばーん!」
「すごーい二人とも、私出来なかったよ」
サクラとモコナから拍手をされて小狼は少し照れて頭を掻き、黒鋼はそっぽを向く。
「で、コレが出来たら何がわかるってんだ」
そっけなく疑問をぶつけるとモコナは意味ありげにフッフと声をあげて笑った。
それがどことなく次元の魔女の笑い声と似ていてゾッとする者約一名(笑)