2

□want to feel
1ページ/3ページ






溜め息が一つ部屋に零れる。
月明かりを頼りに隣を見やれば、規則正しい寝息を立て蒼い瞳を閉ざしている彼の姿。
女顔のくせにと寝付く前までの行為を思い出し、また一つ溜め息を零す黒鋼。

(痛ぇ…)

喉と腰が。
そうゆう状況だったとはいえこの痛みだけはなんとかしてほしい、特に腰の方。
小さく愚痴を吐きながらも同じ布団で眠るファイをもう一度見、惹かれるように細い金糸に手を伸ばした。
持ち上げると指の間を何の抵抗もなく擦り抜けはらはらと落ちていく。
癖のある髪なのに無駄にサラサラで、本当に自分と同性なのかと今更ながらに疑ってしまう。
今までの事を思い返すと疑う方が野暮なのだが。

(不思議だな)

旅の始めはまさか彼とこんな関係になるなんて思うわけもなく。
しかも自分が女の立場に落ち着くなんて人生何が起こるかわからないものだ。
惚れた相手は男、そして惚れている黒鋼もれっきとした男性。
今では子供達が寝静まると、ほぼ毎晩のように躯の関係を作り上げている。こんな事口が裂けても言えやしない。
口では言わなくても子供達には全て筒抜けになっているのだが。
そんな事を黒鋼が知る由もない。

「何遊んでるの?」

飽きないのか何度も何度も髪を弄び、そんな仕草に堪えかねたのか笑いを忍ばせながら瞳を開く。
どうやら始めから起きていたらしく、狸寝入りをしていたファイに一瞬虚を衝かれた黒鋼は途端不機嫌そうに表情を歪ませた。

「起きてたんならそう言え」

「だって、黒様があまりにも可愛かったから〜」

くすくす笑われれば今度は拗ねたのか背中を見せてしまう。
そのまま寝てしまいそうな勢いの彼に今度はファイが身を起こし、耳の上に軽いキスを落とした。

「ごめんね、怒っちゃった?」

「………別に」

尋ねれば少しの間の後に返事が返ってくる。
ファイを見ようと首だけを捻ると、眉間に僅かに皺を寄せながらも恥ずかしかったのか目許を赤らめている黒鋼の表情が伺えた。
ただ照れただけなのかと安堵し、同時に愛しさも込み上げてゆっくり顔を近付けていく。
唇を食むように口付けると片手で後頭部を掴み受け入れる姿勢。
そんな黒鋼の厚意に甘え、すぐに離れる予定だったのを変更して遠慮なしに口内を荒らしていった。

「ん……ふ、」

くぐもる声と舌を絡め合う際に響く水音。
何度も角度を変え、深く長くお互いを求めるよう接吻を交わし続ける。
酸素を共有しあいながらその行為に直ぐ様夢中になっていった。

「は、んぁ…ン」

暫くして名残惜しそうに離れれば二人の舌を銀糸が繋ぐ。
黒鋼は呼吸を乱し、熱で潤んだ瞳をすぐ目の前の相手に真直ぐ向けた。
それだけで金髪は酷く欲情して、気を失う前の行為を再開させようと布団の中に手を伸ばす。
求めていたものを手探りで見つけると優しく慎重に包み込んだ。

「あっ」

それだけでぴくっと跳ね、甘い声を盛らす黒鋼。
彼も先程のキスで感じてしまっていたらしく中心は既に己を主張し始めていた。
ゆるゆると手を上下に動かし、もどかしい快楽をじわじわ与えていく。
そうすれば小さく漏れる彼の嬌声が無意識のうちにファイを煽り立てていった。

「敏感だねぇ、俺我慢できなくなっちゃうよ?」

「…さっきまで散々荒らしまくったくせに」

未だ熱を感じる腔内と小さな刺激でも過剰に反応する躯がその証拠。
荒く呼吸をしながらも呆れたような口振りでファイを見やると、その腕で力強く抱き付き、そのまま躯を反転させた。
掛けていた布団を巻き込んで彼を押し倒した状態になると今度は黒鋼から口を塞ぐ。
唇を犬のように一舐めし、ファイ自身を手で固定して後孔にあてがった。

「うそ、黒りん自分でシてくれるの?」

「嫌ならやめるぞ」

「滅相もない」

間髪入れず返事する黒鋼に盛大に首を横に振ってみせて続きを促す。
よっぽど嬉しかったのか、そんなファイの表情は本人も気が付いていないほどに綻んでいた。
バカ面しやがってと内心毒付く黒鋼だが、ここまできてやめてしまうのも拍子抜けると思い直し既に解れきっている蕾に異物を押し込む。





次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ