遥かなる時空の想い
□星さえ知らぬ
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「…子供のままでいて下さい」
「!」
「君は私に惹かれてはいけない」
「っ…!」
「君は幸せになれる。姫が創る恵み溢れる美しい国で…」
「…自分は幸せになれないとでもいうような口振りだな」
「ええ、私には無理でしょうね。でも」
抱きしめられる腕に力が入る。
「忍人が幸せになってくれるなら…」
「柊…?」
「いけませんね。欲がでてきてしまう」
柊はオレを解放すると苦笑を浮かべた。
「忍人、これだけはなにがあっても忘れないでください」
そう言ってニノ姫がしたように耳元で囁やく。
『私は君のことを愛しています』
「…これがアカシャに定められたことでも、忍人の進む未来に私がいなくても…」
「なっ…!」
「さぁ、今はもう戻りましょう。姫に心配をかけてしまいます」
「…ああ」
答えながら、ニノ姫である少女に思いを馳せる。
どこかこの男を思わせる雰囲気を持つあの少女なら、
彼女なら、何か知っているのだろうか?
この男が何を思い、何をしようとしているのかを…
(きっと、知ってみせる…)
長い時を知るこの星達さえ知らない、彼の心の内を