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□オレとアイツの事情
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何度目かのため息を吐き出し、フッと視線を上げると、そこにはわざとらしくニコニコ微笑んだ田辺の姿。


「オレが話してんのに、考え事か?」


『いい度胸だな』という言葉が言外に伝わり、司郎は慌てて首を横に振る。
この田辺が、刃向かった司郎に、日直でもないにも関わらず、ノートやプリントを回収・提出させたり、コピーを頼んだり…と、ひどく面倒臭い人間である事は、1度目の呼び出しで思い知っていた。

その後、内緒でお菓子やジュースを貰ってはいたが、対価にしては割に合わない。

司郎は、出来れば二度と手伝いなどしたくはなかった。
そんな司郎に気づいたのだろうか…田辺は、ニコニコをニヤニヤに変え、まるでいい子いい子をする様に、頭を撫で回し始めた。


「……何だよ。初めの頃は、あんなに反抗期だったのに、こーんなに可愛くなっちゃって」


いつキレるかを試しているのか、この性格の悪い教師は、ひどく楽しそうだ。
それに気づいた司郎は、可愛いと言い続ける田辺に無視を決め込む。


……が、それももう限界に近づいていた。


振り払おうと、拳を握り締めた瞬間、今まで存在感を消していた木津が口を開いた。




「…おい田辺、オレの方が絶対可愛いだろ」







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