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□オレとアイツの事情
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春の朝の爽やかな陽射し。

そよ風が、窓から入っては優しく頬を撫でていく。


―――が、それを風流だと楽しむ余裕はない。


「離せっ!その腐った根性、叩き直してやるっ!」


場所は、教室。

声の主は、2年3組、クラス番号2番、市塚 司郎(いちづか しろう)。


(今日という今日は、絶対に許さねぇ!)


興奮し、ほうきを持ち出した司郎は、同クラスのクラスメイト達により、四方から押さえつけられ、身動きが取れない状態ながらも、その目はギラギラと一人の男を捕らえる。


「やれるもんならやってみろよ」


同じく、教室。

彼は、2年3組、クラス番号7番、木津 新(きづ あらた)。

学校指定の学生服をだらし無く着崩し、真っ赤なTシャツを身につけた彼は、挑発的にべぇ〜っと舌を出して見せた。


ブチッ


司郎の中の何かがキレる音がして、


「………上等だーー!!」


そう叫んで、木津の元へ飛び掛かっていった。


「わぁーっ!待てって!早まるな!」


「木津も煽るなよ!」


これが毎日…いや1日に何度も何度も繰り広げられる。
クラス全体を巻き込むこの喧嘩は、もう、前世で決着のつかなかった戦いを、現世で終わらせようとしているのではないかと思う程。



理由は何でもいい…出会った時から何故か気に食わず、それからずっと二人の仲は悪かった。







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