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□ねえ、聞こえてる? 第二章
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左之さんに変な事言われて、それからは何故かよくからかわれるようになっちまった。

「ほら、新八が筋肉見せてるぞ」とか、「お前は新八と寝てろ」とか。

左之さん、勘違いしたままなんだもんなぁ。

酔っ払ってたのも覚えてねえし、泣いたっつーのも覚えてねえし。

秋空に紅葉が映える季節。
時たま吹く空っ風に、隣で爽やかに髪を揺らす左之さん。
そしていつまでも暑苦しい新八っつぁん。

くっそー

どうしてこうなった。
って、そもそも俺が告げられないのが悪いのか。
でもなぁ、告げようとしてもなぁ。なんて言えば良いんだか。

「おい!稽古終わったら風呂入るぞ!風呂!」

新八っつぁんが竹刀を振りながら叫ぶ。
左之さんがああ、と、それに応える。
俺も憮然と竹刀を振る。と、

「隙ありいい!」

新八っつぁんが突っ込んできた。
新八っつぁんの振るう豪気な竹刀は、ぱあん!と大きな音を立てて俺の額に落ちた。

いってえええええ泣

完全に隙を作ってしまっていた俺は、額が真っ赤になってしまった。

「おい、新八。やり過ぎだ。それに平助、お前も惚け過ぎ。」

う…と口を噤む。
左之さんの事考えてて、なーんて言えやしない。

いっつも左之さんはこうやって新八っつぁんを制して、俺を諭す。
その関係が心地良過ぎて、俺は左之さんに告げられないでいた。
それでも姿を見れば見るほど、言葉を交わせば交わすほど、やっぱ好きで。

触れたいって衝動がある度に、自分の気持ちに気付かされている。





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