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□夢うつつ
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お茶もお菓子も、酒も飯も、一緒に食べたいな。
あったかい気持ちになれるのは、ハジメ君といるときだけ。
そんな時に、君と来たら、部屋から一歩も出てこないから、僕が無理矢理引っ張りだして来て、強引に縁側に座らせたりなんかして、花や菓子や贈り物して、笑う顔でも見ようかと思ってるのに。
「やめろ、恥ずかしい」
なんて言うから、僕だってむくれちゃう。
でも君は真っ赤な顔して、ちゃんと花も愛でるし菓子も食う。
甲斐甲斐しいのは僕の癖。
君にだけだけど。
「そういや、斉藤はどこいった?」
土方さんが廊下を渡りながらに聞いて来た。
「知りません。僕だって探してるんです。土方さんはなに用ですか?」
僕のハジメ君に、とつけたそうとしたけどやめて置いた。
そうか、と土方さんは両腕を前で組み、困った顔をした。
きっと仕事のことなんだろう。
先にハジメ君を見つけよう!と意気込んで、屯所内を駆け回る。
心当たりのあるところは探したが、なかなか可愛い顔は見つからない。
「千鶴ちゃん!」
息を切らして僕は千鶴ちゃんに話しかけた。