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□ねえ、聞こえてる?
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永倉新八side

「あの、さ。」

平助は大きく息を吸い、俺に聞いて来た。

「新八っつぁんは、好きなやつとか、いるの。」

その真剣な眼差しに、一突きされたように心臓がはねる。
好きな奴にそんな目をされりゃ、心も動いちまうんだろうな。
まぁ、無論、俺に対する言葉じゃないのは分かってるけど。
俺じゃねぇなら、そんな儚げな顔するんじゃねぇって。

「いるよ。どうした。まだ言えてねぇのか。」

うん、と湯に顔までうずめる平助に、なんて声をかけたものやら。
見回りを終えて、ひとっ風呂浴びてる時に、たまに話しかけて来るこいつは、華奢で、なんとまぁまだ童貞のちびっ子だが立派な恋愛っつーもんをしている。

それも、しかも、蝶も女も寄って来る、原田佐之助に。

そんな奴への恋は辛いだろうがまぁ俺から見れば楽しそうで、男だろうが女だろうが、恋愛なんざしてりゃぁ生き生きして来るもんだ。

今のこいつは辛いだけなんだろうけどな……
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