小説置き場
□Servant of Evil〜前編〜
1ﾍﾟｰｼﾞ/4ﾍﾟｰｼﾞ
−悪ノ娘−
むかしむかしあるところに悪逆非道の王国の頂点に君臨するは齢十四の王女様
｢お金が足りなくなったなら愚民どもから搾り取れ｣
｢私に逆らう者たちは粛正してしまえ｣
悪の華可憐に咲く
鮮やかな彩りで
周りの哀れな雑草は養分となり朽ちてゆく
暴君王女が恋するは海の向こうの青い人
だけども彼は隣国の緑の女に一目惚れ
嫉妬に狂った王女様ある日大臣を呼び出して静かな声で言いました
｢緑の国を滅ぼしなさい｣
幾多の家が焼き払われ
幾多の命が消えてゆく
苦しむ人々の嘆きは王女には届かない
｢あら、おやつの時間だわ｣
暴君王女を倒すべくついに人々は立ち上がる
烏合の彼らを率いるは赤き鎧の女剣士
長年の戦で疲れた兵士たちなど敵ではない
ついに王宮は囲まれて家臣たちも逃げ出した
可愛く可憐な王女様
ついに捕えられた
｢この無礼者！｣
むかしむかしあるところに悪逆非道の王国の頂点に君臨するは齢十四の王女様
処刑の時間は午後三時
教会の鐘が鳴る時間
"王女"と呼ばれたその人は一人牢屋で何を思う
ついにその時はやってきて終わりを告げる鐘が鳴る
民衆などには目もくれず
彼女はこう言った−
｢あら、おやつの時間だわ｣
悪の華可憐に散る
鮮やかな彩りで
後の人々はこう語る−
｢嗚呼、彼女は正に"悪ノ娘"｣
−−−語られる歴史が真実とは限らない
誰も知らない隠されたもう一つの物語を語ろう
運命を分かたれた
哀れな双子の物語−−−