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□平子真子バースデー
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時は約百年前に遡る。





只今5月10日午前5時半。
きっとまだ目的の人物は起きていないはず。



護挺十三隊五番隊五席名字名前。



隊長の部屋に侵入を計画、実行中。



「隊長の部屋は確か彼処でしたね。」



一人の少女が夜が明けたばかりの瀞霊挺で呟く。



所は五番隊宿舎前。



少女の肩口までふわふわと伸びた柔らかな黒髪が5月の風に弄ばれる。



齢はまだ三、四歳位に見える幼い少女。



随分と高い位置にある窓に視線を送る少女は そっ と目を閉じた。



「……霊圧からしてもまだ起きていらっしゃらない様です。」



さて。



と少女はそう呟くと くっ と足を踏ん張り、腰を落とし、



・・・
飛んだ。



下で視線を注いでいた窓の窓枠に足を掛けると そっと窓に手を掛け細く開ける。



くすり と笑うと



バンッ



派手な音をさせて窓を乱暴に開けた。



「平子隊長、駄目ではないですか。せっかく僕が隊長を驚かそうと霊圧を消して窓まで跳んだというのに。」


少女はまだ敷いてある布団の中の人物に声をかけた。



布団から むくり と起き上がる人物。



「……俺かて隊長やねんから不法侵入者がおったら自然に目ぇ覚めんねん。」



むぅ。



少女は幼く可愛らしい容姿に似合った表情をする。



「……僕だって頑張って早く起きたのですよ。」



不満げな様子を見せる少女は草履を脱ぐと窓辺に揃えて置き ふわり 室内に降り立った。



「窓が大きな音発てて開いたんには俺も少しびびったわ。」



「僕は隊長のそういう所が非常に気に入らないのです。僕の機嫌を損ねまいとしているのですか?」



少女が怒ったように足音を発てようとするが、体重の軽さ故か タスタス
と云う程度の音しかしない。



「そんな怒らんかてええやん。そうは言うても名前怒らしたら外野が五月蠅いねんもん。」



金糸の髪の人物は近寄ってきた少女の頭を撫でた。



「僕が怒ってもどうって事無いと言いたいのですね!?」



平子真子はパタパタと暴れる少女を抱き上げて目線を合わせた。



「で、名前は何しに来たんや?」



むくれた少女をあやすような仕草で抱き上げた彼は少女の用件を尋ねた。



「はっ、忘れるところで……わっ忘れてなんて無いのですよ?」



やはり忘れていたのであろう。
焦る少女に彼は可笑しそうに笑う。



「はいはい、折角来たんに忘れとったわけあらへんもんなァ。」



「そっ、そうなのです!僕は隊長に御用があって来たのですよ?」



焦ったように手を振り回す少女。



「で、なんや?」



少女は ほう と安心したように息を吐く。



そして にっこり はにかむと一気に言った。



「隊長、お誕生日おめでとうございます!」





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