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□今日はポッキーの日
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「カズ、ポッキーゲームのやり方って知ってる?」

バンがオレにいきなり何かを聞いてくるのは、珍しいことじゃない。
いつもなら詳しく、もしくは知ったかぶりをして答えるけど、今回ばかりは首を傾げた。
「ポッキーゲーム?」
「そう、ポッキーゲーム」
聞き返すと、バンは神妙な顔で頷いた。
「誰から聞いたんだよ」
「あ、カズ分かんないんだ」
「ば、バンだって分かんないんだろ!?」
「うっ…そうだけど…。さっきアミが言ってたからさ」
なるほど、アミが言ってたのか。
アミならオレたちが知らないことを知っているだろう。
「…っていうか、アミに聞けばいいだろ」
「もう聞いたよ。自分で調べなさい、だって」
バンはアミの口真似をしながら言った。
さすがアミ、歪みない。
「ポッキーゲームっていうくらいだからポッキーには関係あるんだろうけど」
「だよな」
さすがにそのくらいは予想がつく。
オレとバンはしばらく額を突き合わせるようにして考えた。
でもまあ、知らないものは考えても仕方ないわけで。
「…調べてみようか」
よくよく考えてみれば、これが一番手っ取り早い方法だった。


「『ポッキーゲーム』…検索、と」
バンと二人、画面を覗き込んで検索結果を待つ。
でもこれ、端から見たら結構間抜けな光景だよな…。
「あ、出た。何々…」
バンが画面をスクロールしていく。
「…………」
「……えーっと……」
バンの目線がさまよっている。
っていうかオレも正直画面なんか見てない。
この世にこんなゲームが存在したとは…。
「そっか、それでアミ、あんなこと言ってたんだ」
いち早くショックから脱したバンが、なぜか納得したような顔をして呟いている。
「あんなことって…何言われたんだよ」
「今日ポッキーの日だから、カズとポッキーゲームしてこればって」
…たまに思うんだけど、アミってオレたちをどう思ってるんだ…。
「とにかく、これで謎は解けたね。ところでカズ」
「な、なんだよ」
マズい、嫌な予感がする。
こういう時、バンが言うことは一つだ。
「ルールも分かったことだし、ポッキーゲームやってみない?」
「やってみない!」
オレはバンがどこからともなく取り出したポッキーを、手刀でたたき折った。

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