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□Counselor-A
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鳥の鳴き声が響く、爽やかな朝。
これから私のいつも通りの1日が始まる。



「あのさ、ちょっと相談に乗ってもらいたいんだけど…」
学校へ行く途中で会うなりそう切り出したのはバン。
家が近いからか、バンとは朝こういう話をすることが多いのよね。
まあおおよそ相談っていうのはカズのことなんでしょうけど。
「実はカズのことなんだけど…」
ほらね。
「最近カズが冷たいっていうか、避けられてるっていうか…。オレ何か嫌われるような事したかな?」
嫌われるわけないじゃない。
カズはバン一筋よ。
「オレだってカズ一筋だよ!」
分かってるわよ。
そんなに気になるなら本人に直接聞いてみたら?
「う…っ、でもさ…」
何?
どうしたの?
「もしホントに嫌われてて、カズにバンなんて嫌いだなんて言われたらオレ…!!」
…分かったわ、私が聞くわよ。
それならいいでしょ?
「ホント!?ありがとう!!」
どういたしまして。


午前の授業が終わり、昼休み。
私はカズの教室へ向かった。
どうして三人同じクラスじゃないのかしら。
不便だわ。
そう思いながら教室を覗くとこっちに気付いたカズが駆け寄って来た。
「あ、あのさ!ちょっと聞いてくれねぇかな」
あら、カズも何か相談?
「うん、まあ…ってオレもってどういう意味だよ」
こっちの話よ。
それで、どうしたの?
「じ、実はさ、最近バンのことまともに見れないっていうか…」
……。
「なんか恥ずかしくなっちゃって、ついつい冷たい返事しちゃったり、バンのこと避けちゃったり…。オレどうすればいいんだ?どんな顔してバンに会えばいいんだ?」
笑えばいいと思うわ。
「はっ?」
冗談よ。
そうね、今のをバンに全部言えばいいんじゃないかしら。
「そんなの恥ずかしくて無理だって!!」
大丈夫よ、きっと泣いて喜ぶわ。
「でも、オレはそう思っててもバンはそうじゃ無かったら…」
…分かったわよ、私が言うわ。
それならいいでしょ?
「えっ、いやそれはそれで…ちょっと…」
じゃあ帰り二人っきりにしてあげるから、自分で言いなさい。
「…分かった。相談のってくれて、サンキューな!」
どういたしまして。


「あ、カズ何だって!?」
自分で聞きなさい。
「えっ、聞いてくれるんじゃなかったの!?」
何で!?と叫んでいるバンに謝って、自分の席へ向かう。
きっと明日は相談じゃなくて惚気を聞かされるのね。

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