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□こっちを向いて欲しいから
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バンはじっとハンターのメンテナンスをしているカズの背中を見つめていた。
最近のカズは、二人きりになってもハンターに構ってばかりでこっちを見てもくれない。
バンの視線にも全く気付いていないようだ。
しびれを切らしたバンは、人差し指を伸ばしたままの手をカズの肩へ置いた。
振り向いたカズの頬に、人差し指が触れる。
「なんだよバン」
「カズ、ハンターばっかりでオレに構ってくれない」
カズの頬をふにふにと押しながら、バンはいじけたような口調で答えた。
カズはきょとんとしてバンをまじまじと見つめている。
「今二人っきりだから…」
「バン…。悪い、もうちょっと待って!」
「へ?」
バンは手を宙に浮かせたまま目を瞬かせた。
「あと少しでメンテ終わるからさ」
そう言ってカズはまた背を向けてしまう。
手元はよく見えないが、CCMに何か打ち込んでいるようだ。
その手が止まったタイミングを見計らって、バンはカズの耳元へ息を吹きかけた。
声を上げ、顔を真っ赤にして振り向くカズに微笑みかける。
「オレ、十分すぎる程待ったよ?」

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