ブック(短)

□永遠曖昧ライフ
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いつもと変わらない朝、雀の鳴き声で目が覚めた。まだ重いまぶたをうっすら開くと、窓から光が差し込んでいるのが目に入る。それに顔をしかめながら枕元の時計に視線を移した。


「もう少し寝るか…」


7時16分。まだ任務に出掛けるまで1時間以上ある。そう思うと急に眠気に襲われ、俺は枕に顔を埋めた。


……おかしい。毎朝この時間には母ちゃんが起こしに来るはず。それ以前に自分で起きろって話なんだが、それができたら苦労はしない(←)。でもまぁ、母親ってのも忙しいから仕方ない。そう自分に言い聞かせて、俺は布団から抜け出した。


「…さてと、着替えますか」


おぼつかない足を洋服タンスへ向かわせて、いつもの忍服に着替えようとTシャツを脱ぎ捨てた…そのとき。


「シカマルー!!今日任務でしょ!起きなさい!」


「―っ!?」


突然部屋の扉が開いた。目の前いるのは、母ちゃん……ではなくいの。花柄のエプロンをつけて仁王立ちしている。


「なーんだ、起きてたの。せっかく起こしに来たのに!」


「悪ぃかよ。つーかお前、何でここにいんだ?」


「シカマルのパパとママ、早朝から任務なんだって。だからシカマルの世話を頼まれたの」


目の前のいのは呆れたように、はぁっと溜め息をついた。おまけにジトーっとした視線を向けて。…なんか俺が悪いみたいじゃねぇかよ。


「俺、何も言われてねーんだけど」


「アンタがしょっちゅう寝てるからでしょ。それより早く着替えなさいよね!」


ビシッと俺の体を指しながらいのが言う。よく男の裸平気で見れるよな。…まぁ、それはつまり、俺が男としてみられてねぇってことなんだけどよ…


「わーったよ。着替えたら行くから、先に行ってろ」


「早くしなさいよねー。朝ごはん冷めちゃうから!」


くるっと体の向きを変えたいのは、軽くスキップしながら部屋を出ていった。パタパタと鳴るスリッパの音が、やけに耳に響く。


「――朝から可愛いヤツ…」


服に手を掛けながら、そう呟いてみる。普段からアイツとは顔を合わせているが、今日は私服で、すっぴんで、おまけにエプロン姿だ。幼馴染みとしてだけじゃなく一人の女として見ている俺にとっては…当然普通じゃいられない。気恥ずかしさと少しの嬉しさを持ち合わせて、俺は任務の支度を始めた。





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