ブック(短)

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ハ「姉上、お腹空きませんか?」


私の隣を浮き浮きしながら歩くハナビ。…そんなに出掛けるのが嬉しかったのだろうか;


ヒ「あ、うん。じゃあ…甘栗甘とかどうかな?」


確か、新作の甘味が出たっていのちゃんたちが言っていた。


ハ「甘栗甘ですか!?私行ってみたかったんです!」


さっきよりもっと明るい笑顔で喜ぶハナビ。彼女はいつも修行ばかりで、甘味処にも行ったことがなかったらしい。今日は楽しんでもらいたいな、なんて思っていた。すると、見覚えのある背中が道端の建物の中に見えた。


ヒ「キ、バくん…?」


向こうは私に気づいていないらしく、誰かと話している。近づいて確認しようとすると、突然立ち止まった私の腕を、ハナビが慌てて引いた。


ハ「ひ、人違いですよ。彼は長期任務なんですから。」


なぜか動揺している様にも見えたが、ハナビの言う通り人違いだと自分に言い聞かせた。彼のことばかり想っていたから、幻覚が見えたんだと。気を取り直し、私たちは甘栗甘へと足を進めた。


―――――


甘栗甘に着き、店員さんに注文をし終えると、私はハナビの質問攻めにあった。キバくんのどこが好きなのか、キバくんとどこまでいったのか(←)…などなど。興味津々といった風に、次々と聞いてくる。


ヒ「わ、私のことはいいからっ!…ハナビは?好きな人、とかいないの?」


ハ「い、いな…いワケじゃないですけど…///」


食べていた団子を軽く喉に詰まらせて、うつむいてしまったハナビ。…冗談で言ったつもりが、どうやら本当らしい。顔がタコの様に真っ赤だ。


ハ「…姉上が羨ましいです。あんなに、愛されてて…」


切なそうに笑うハナビに、私は何も言えなかった。「ハナビだって振り向いて貰えるよ!」とか「きっと両想いだよ!」とか言った方がよかったのかもしれない。でも、今の私にはそんなこと言えなかった―




To be continued..


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