〜短編〜
□白桜伝〜月夜抄〜
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海と山に挟まれた町"鳥勢(トセ)"ここには五つの集落があり、そのうちの一つに奇妙な噂がある。
それは、"複数枚の札を操って妖怪を退治する青年がいる"というものである。
白桜伝〜月夜抄〜
鉄筋コンクリートやガラス張りのビルが立ち並ぶ繁華街から少し離れたところにある小高い丘。その麓には噂の青年が住む古い神社がある。
「はぁ……今夜も見回りか……」
青年の名は"枝垂 桜華(シダレ オウカ)"。彼は若干十七歳にしてこの神社の住職を務めており、同時に妖怪退治の依頼を請け負っている。
しかし、今夜の依頼は森の見回りだけのようだ。
「……さて、とっとと終わらせて寝るとしますかね」
愛用の下駄を履き、桜華は森へ向かった。
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