長編 3人の関係

□第1話
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やがて時がたち蜜柑たち初等部B組は中等部A組に進級した。

中等部に上がって蜜柑はある気持ちに気付きだしていた。それは、棗とルカに蛍や友達とは違う感情があることに、もちろん蛍は大好きだ。でもそれよりもずっと特別な気持ち…。

この気持ちはなんだろう?なんで二人を見るとこんなにドキドキするのだろう?わからない… いつもなら蛍に相談するけど、蛍より特別な気持ちが二人にあるなんて言えるはずがなかった。

「はぁ〜 どないしよ〜」

蜜柑は、中庭を歩きながらため息をついた。すると後ろから聞き慣れた声が聞こえてきた。

「おい チビどうしたんだ?」

蜜柑のすぐ後ろに翼と美咲が立っていた。

「翼先輩! 美咲先輩!」

「どうしたんだ蜜柑?ため息なんかついて」

美咲は蜜柑の頭をわしゃわしゃとなでながら心配そうに聞いた。

「あのなぁ〜」

蜜柑は飛び付くように二人に話し出した。

場所を移動し ベンチに三人は腰を下ろした。

「で どうしたんだよ」

翼は蜜柑の方を向いて聞き出した。

「それがな ウチ 最近ある人を見たり、考えたりすると、ドキドキしたり心臓がぎゅ〜ってなって苦しくなったりするんよ… ウチなんかの病気なんかな……」
それを聞いて 翼と美咲はズルッと体勢を崩した。

「蜜柑 それはマジでいってんのか?」

翼は呆れた顔をして言った。

「うん」

蜜柑はこの世の終わりのような顔して答えた。
すると美咲が優しく笑って言った。

「蜜柑 それは“恋”だよ」
「コイ?」

「そう その人のことが好きで愛おしくなるんだ」

続けて翼が優しく言った。
「好きで愛おしい…」

(ウチが棗とルカぴょんのことが好きってこと…?)
「でも… ウチその人のこと前から好きやったで?」

蜜柑は不思議そうな顔をして言った。

「それは 友達としてだろ?」

「うん その人とは友達やで?」

蜜柑は笑ってそう答えた。
「だからさぁ 蜜柑はその人と特別な関係になりたいんだよ」

「…特別な関係?」

「 うーん 例えばなぁ」

と言って翼は考え出した。
「そう! 側にいたいとかずっと隣に並んでたいとか思わないか?」

翼はコレだっと顔を上げて言った。

「…………思うっ!! 離れたくないなとか ずっと笑っててほしいとか…」

蜜柑は少し考えてから言った。

「それだよっ!!」

「それは その人と特別な関係になりたいからだよ」

美咲は笑顔で 翼は優しく言った。

「そうか うん スッキリした!! 」

そう言って蜜柑はベンチから立った。

「ありがとな!! 翼先輩 美咲先輩 さっそく棗とルカぴょんにウチの気持ち伝えに行ってくるな!」

そう言って蜜柑は北の森に向かって走って行った。

「!? 今 棗とルカぴょんって言ったよな!!」

「ああ 言ってたな…」

翼の質問に唖然としながら美咲は答えた。

「まったく どうなる事やら… でもなんか寂しいものがあるな」

「ほんとよ… まったく やってられないわ」

翼の後ろには蛍が立っていた。

「ほっ蛍姉ーさん いつの間に!! …あの〜 今の話………」

「もちろん 聞いていたわ」
(殺されるー 蜜柑に恋心を自覚させたのは俺だ!!)

「翼 ガンバッ!」

…………遠くで美咲の声が聞こえた

「別にいいわ」

「へ?」

「こうなる事は わかっていたもの」

……そう言った蛍姉ーさんの顔は どこか寂しそうだった

「でも それとこれとは話は別よ 貴方が余計なことしなかったら もう少し蜜柑は私のものだったのに」

フフフっと黒い笑みをこぼすと 不気味な発明品を取り出す蛍だった。

翼は全治二週間のケガをしたとか…

つづく

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