拾われウサギ お話
□05
1ページ/3ページ
「ぅー・・・眠い」
「そう言うな。お前だって外の世界を見てみたいだろ?」
「・・・阿伏兎、だっこ」
両腕をピンと伸ばし、眠さを必死にこらえてまぶたを開ける。
それでも、今にもまぶたは閉じそうだった。
「だっこ・・・って、お前もう10歳だろうが。たくっ」
文句を言いながらも軽々とアリスを持ち上げ、片手で抱く。
「阿伏兎、お父さんみたい・・・」
よほど眠かったようで、言い終わるとすぐに夢の世界へ。
一方阿伏兎は“お父さん”と言われ、うれしいような悲しいような、微妙な心境であった。
「これをみたら団長がなんていうか・・・ハァ」
何度目か分からない溜息をつき、団長のいる食堂にむかうのだった。