◎book

□視線
1ページ/1ページ






「ね、俺のこと嫌いでしょ」




そんな言葉を唐突にいわれたのは数ヶ月前のこと。
相手は同じ上忍で先輩のはたけカカシ。
好きか嫌いかといえば、確かに好きな人種ではなかった。
でもそんなことをはっきり言うほど、あたしは失礼な人間でもない。


「いきなりなんですか」

「だっていつも俺のこと冷めた目で見てるから」

「先輩の目のほうがよっぽど冷めてます」

「俺の半目は生まれつきよ」



あほらしい。
実にあほらしい。
この人は何が言いたいんだろう。

でもいるよね、
世の中には周りの人間すべてが自分を好んでないと落ち着かないひと。
カカシ先輩は逆に、周りの人間はどーでもいいと思っている人間だと思ってたけど…


「知ってる?
視線ってね、その人をどう思ってるか出るのよ」

「はい?」

「嫌いな奴には嫌悪の目。
ヤりたい奴には邪な目。
好きな奴には好奇の目。」

「……何が言いたいんですか?」

「ま、君は俺の視線に、少しは気づいたほうがいいってこと」


それだけ言って、はたけカカシはその場を去っていってしまった。

カカシ先輩の視線?
嫌だよ、気づいたって振り向けるわけがない。
カカシ先輩の目は怖い。
視線が合ったら、その目に吸い込まれてしまう。あの目に何人の女の子たちがやられてきたことか。


それ以降、あたしははたけカカシの視線が気になって仕方がなくなってしまった。
横顔に、背中に、痛いほど突き刺さる視線。

だけれどあたしはその視線の先を辿ることはできない。
辿ってしまったら負けだ。
あの視線に、絡めとられる。



「ねぇ、」

「………」

「最近なーんで目合わせてくれないの?」

「瞳術、かけられそうな気がして」

「は?」

「………」

「……あのさ、
前話したこと覚えてる?」

「………」

「嫌いな奴には嫌悪の目
ヤりたい奴には邪な目
好きな奴には好奇の目」

「……はい」



「俺、ずっと君のこと気になるって目で見てたんだけど」




視線を合わせたら、ダメ。

(吸い込まれる、)
(吸い込まれる)


合わせたら、あたしはどうなってしまう?


「俺は周りの人間の目なんて気にしない」


(あ、やっぱり)

ふと前考えたことを思い出す。
周りの目が気になる人間とどーでもいいと思う人間

(やっぱりカカシ先輩は、後者だ)



「だけど君の目だけは、気になっちゃうんだけど」


(目を、合わせたら…)


それが最後。




視線





「君もいま、俺のこと気になるって目してる」



その視線の、虜になる。





***
素敵企画ありがとうございました
カカシの口調微妙すぎですけど勘弁で…(汗
カカシHAPPYBIRTHDAY!!\(^o^)/
_

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ