Belial

□第二話
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「とりあえず、死ぬ前に何かしたい事ってあるかな?」

物騒極まり無い言葉がカラオケボックスに響く。
部屋の中には、先程言葉を発した男と、女が三人。

男の問い掛けに答えたのは、二人だけだった
無言のまま首を振った二人に対して、残る一人は冷めた目で男を見ながらドリンクを一口、口にした。


薄い表情のまま会話を進める三人を尻目に、女は一つ溜息をついた。

何故、私はこんな所にいるんだ……
意味のわからないまま連れて来られ、こうしているわけだが…正直な所、もう帰りたい。

まだ友人である男と一緒にいるのは百歩譲っていいとする。が、この女達は何だ?

答えは単純、《自殺志願者》だ。


男――折原臨也に騙され、この場所にやって来た、憐れな女達。
コイツは…臨也は死ぬつもりなど毛頭ないだろうに。
かく言う私も、もちろんまだ死ぬつもりなんてない。というか死んでたまるか


















(衣弦、なんで電話出てくれないの?)(…なんで家にいるの、臨也。教えてないのに)
(そりゃ、愛の成せる業だよ)(死ねばいい)
(つれないなぁ、衣弦は。まあいいや、これから暇?ちょっと付き合ってよ)
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