暖かい水の中

□第三章
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入口を見つけ、上級車両の上から入り込んだ四人を見た乗務員は慌てて声を上げる。
しかし、それもファインダーの「黒の教団」という言葉と、コートのローズクロスによって収まり、一室準備された。


当たり前の様に部屋へ入るアニエスと神田に、意味の解っていないアレンはファインダーに質問していた。

話し終えたアレンが部屋へ入ってきた時には、アニエスは黙々と先に行うアクマ殲滅の資料を読んでいた。
その様子をちらりと見た後、アレンは神田に向けて先程から言いたがっていた質問を口にする。


「何でこの奇怪伝説と、イノセンスが関係あるんですか?」

その質問に、如何にも面倒だといった表情になった神田は隣で資料を読むアニエスに目を向ける。
瞬時にその意を理解したアニエスは資料から目を離さずに口を開いた。


「イノセンスは、」
「(あ…まだ1冊資料があって大変そうだったから神田に聞いたのに…)」

明白に、申し訳なさそうに顔を歪めたアレンの顔を視界の隅にいれ、アニエスはただ黙々と言葉を紡ぐ。

「ノアから現代までの間に様々な状態に変化している場合が多い。初めは地下海底に沈んでいたと思われるその結晶の、不思議な力が導くのか、人間に発見されて色んな姿形になって存在していることがある。それは何故か必ず奇怪現象を起こすんだよ」
「じゃあこのマテールの亡霊は、イノセンスが原因かもしれないってことですか?」

首を傾げるアレンに、読み終わったのか今まで読んでいた資料を置いてもう一つの資料を読みはじめるアニエス。


「“奇怪あるところにイノセンスあり”。教団はそういう場所を虱潰しに調べて、可能性が高いと判断したらエクソシストを送るの。他に質問は?」
「あ…大丈夫、です。ありがとうございました」

ちらりとアレンに目を向けたアニエスに、アレンは慌てて首を振る。
それを確認して、アニエスは資料に目を戻した。
 
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