暖かい水の中
□第三章
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神田とアニエスが水路に着いた時にはまだアレンは来ておらず、二人は先に舟に乗り込む。
少しして、団服に身を包んだアレンがコムイ達と水路へ降りてきた。
ティムキャンピーについてやり取りした後、三人とファインダーを乗せた船が出る。
「行ってらっしゃい」
「行ってきます」
コムイの言葉に返したのはアレンだけだった。
一瞥したコムイの顔は少し寂しげに微笑みを浮かべていた。
「あの、ちょっとひとつわからないことがあるんですけど…」
「それより今は汽車だ!!」
四人の人影が屋根の上を駆けていく。
駅の上を飛び越えて、走る汽車を確認したファインダーが声を上げた。
「お急ぎください、汽車がまいりました」
「でぇえっ!?これに乗るんですか!?」
叫ぶアレンを無視して、鉄骨の下を走り去ろうとする汽車に迷いなく飛び乗る神田とアニエスにアレンは意を決して飛び乗った。
ダンッという音と共にしがみつく形で着地を成功させたアレンに、アニエスは少しだけ感心した。
しがみつくという少し不様な姿だが、初めてにしては迷いなく飛び乗ってきた。
座り込む形で着地した神田に、片膝を着くだけで着地したアニエスは車両内に入る為に入口を探す。
「飛び乗り乗車…」
「いつもの事でございます」
既に疲れきったかの様なアレンに応えるファインダーの声を聞きながら、アニエスは自分に向けられた視線を辿る。
その先には、アレンがアニエスを有り得ないものを見たかの様な目を向けていた。
「なんでそんな平然と立ってるんですか」
「……慣れ」
淡々と返された言葉に、アレンは有り得ないと心の中で叫んだ。