暖かい水の中

□第一章
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『―あ、起きた!?ゆ、ユウ、起きたよ!君は…agnes…アニエスだね!よろしくアニエス、ぼくは―――』



《こいつアウトォォオオ!!!》

教団中に響き渡る程の大きな声に、アニエスはゆっくりとベッドから起き上がる。
声が響いたのか、がんがんと痛む頭を軽く押さえながらぼーっと先程見た夢に思いを馳せた。


「(…随分と、懐かしい夢だった…な)」

“僕”が覚えている限りの始まりの記憶。

冷たいと感じたのと同時に、酷く《温かかった》のを思い出す。
…矛盾。分かってはいるけれど、他に表す言葉が見つからない。



「アニエス!アニエス、いる!?お願い、一緒に来て!」

ただぼーっと物思いに耽っていた時、その空気に削ぐわない緊迫した声が荒々しいノック音と共に部屋に響いた。
 
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