暖かい水の中

□序章
1ページ/3ページ




“私”の目の前で嘲笑を漏らす異形のソレ。

“私”達の敵であり、世界を破滅へと導こうとするもの。


『………あーあ、これまで、かしら、ね』

荒い息を必死に押さえて、目の前の異形を睨みつける。

片手で押さえる脇腹から、どくどくと身体から流れ出る赤い朱い鮮血。
身体が段々と寒くなってきて、感じる事。


“私”はもうすぐ、死ぬ。


流れ出る鮮血と共に、命の流れるこの感覚。
出来る事なら、一生感じたくなかった感覚。


『は、っ…ふふ、ただで、死んでた、まるもんですか……』
『あは、悪足掻きは止めときなよう』

目の前の忌むべき異形の敵、アクマに自分のイノセンスを向ける。
その時聞こえてきた幼い少女の声に、眉をひそめた。

声のするほうへ動かない身体を叱咤して顔を向ける。
そこにいたのは、聞こえてきた声と同じくらいの幼い、この戦場には似つかわしくない、少女。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ