歌詞『日常』

【日常】

ちょうど12時 外はそりゃまた世間で言うお日柄も良くってやつでさ

君は昨日道で会ったネコみたいな顔をして ベランダで歯みがいて

僕はギターを弾いてる唄なき歌を口にして 君は昨日100均で買った6色の絵の具で

半分にした画用紙に絵を描いてる

ケツメイシを鼻唄にして


君より早くギターにも飽きて何の面接かも分からない 8:30って書いてある紙をギターケースから

取り出してベランダにちょこんと座り頭をかきながら アーティスト顔して何度もへばりつくカーテンと戦ってる

部屋にいる君は笑っている それは見なくても分かっている

明日君がいなくなってもその悲しみはきっと忘れてしまう

ふとそんな事考えていたら

風が急に強く冷たく吹いて

部屋の片隅に放置されたギター鳴らした


この歌詞とも言えない詞が何かに似てんなって思って

多分昨日バカみてえに聞いてたあの曲かって

頭よぎったけどほくそ笑んで「知らねえよ」 って書き続ける

出来上がって惨めになるの分かってんのに


気づくと君は絵も終え化粧も終えて 何かよく分からん紙を書いてて16時からバイトだと言う

僕は君を駅まで見送る 君はまた笑っている

帰り道左の靴ひもがほどけて直す 通りすがりの30代の女にぬるま湯みたいな目で見られる

部屋に戻ってしばらくするとギターは 形を変えて見慣れた手の平サイズ

それを右手に僕はロックスター 飛び出した出来損ないのクリオネを

嫌味なくらい生活を背負った白いエイで 拭い去るこんな僕を君は「好き」だと言う

僕は悪い気がしないので「ありがとう」と言う

腹が減った チャーハンにしようか


あぁ日常 あぁ日常 ギターは今日も無造作に

あぁ日常 あぁ日常

僕は今日も……

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