短編

□恋愛感情
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   恋愛感情・創造論

 
 何故人に恋愛感情が生まれたのか。
 
 恋愛感情とはこの世で最も愛されている感情であり、憎まれている感情だと私は思う。
愛している故に嫉妬があり、嫉妬とは憎悪の塊であり、憎悪とは愛情である。そんな風に私は思う。
 捻くれた考えだと思う。歪んだ考えだと思う。歪な夢だと思う。単純な現だと思う。矛盾したこの思考が正しいとは思わない。間違っているとも思わない。ただの個人の考えであり、他人の考えはまた違う。
 私は感情の創造主では無い。だから本当の事なんて何一つ解らない。理解不能で、判別不可能である。そして、理解や判別は不要である。
 解らなくて、判らなくて、曖昧で、矛盾していて、傍から見れば偽善で、それでも尚、求め続けている。それが人間の本能で、目的で、目標なのだ。至極難解で至極容易なこの問題を私は解こうと足掻いている。
 好き、好ましい、愛している、愛しい、恋してる、恋しい、慕っている、慕わしい、等。愛を伝える為の言葉がこの世には溢れかえっている。どの国の言葉にも愛を伝える為の言葉が存在し、利用されているのだ。
 人類が誕生した時から、否、そのずっと前から。きっと恐竜達の時代以前、人類がまだ海に生きた時代以前、宇宙が創造された時以前。もっと前からかもしれない。神が人に授けた罪であり、罰にあたる感情。
 もしかすると人という名の器に、初めて入れた感情なのかもしれない。
 曖昧模糊で、表裏が激しく、奇抜で、理屈が支離滅裂で、辻褄の合わない矛盾した感情。時代が巡っても、何も変わらず心という名の精神に宿る。
 約束も決断も決心も決意も契約も契りも条約も同盟も。恋愛感情の前では無駄な事である。概念も理論も理想も。何もかもを捻じ曲げてしまう。
 この感情の前では輪郭線なんて必要できない。理論に基づかない無茶苦茶で我武者羅で滅茶苦茶で無鉄砲で自堕落で破天荒で型破りなものなのだ。
 だが、恋愛感情というものがこの世に存在しなかったのなら何を楽しみに生きていけば良い?何を楽しんで生きていけば良い?
 完成された人間の中で唯一欠陥しているが存在している。恋愛感情を創造したのは自分以外の誰でもない。

恋愛感情/殴り書き@薄雲

20110323
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