短編
□pardon!?
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「は。今なんて?」
レベッカがいつも唐突なのは分かってる。主語がなく単語だけを言うのも日常茶飯事だ。だが、今のはいつものよう「Yes」や「No」ではいかなくなる。
「もう一回、言ってくれるか?」
レベッカは、「だーかーらー!」と顔を赤くさせ、いつも冷静なビリーだって顔が熱い。
「あなたとセックスがしたいの!///」
まさか、まさか彼女からこんな単語が出てくるとは思わなかったビリーは、手で目を覆い目を固く閉じた。
「…駄目、かしら…?」
おそらく今目を開ければ、上目遣いの彼女がいるだろう。そんな物をみてしまったら、俺は俺で居られなくなる…。
ビリーは目を閉じたまま、彼女の肩に両手を置き、ゆっくりと瞼を開けた。
「…ビリー?」
そこには予想通りの彼女が自分を見つめていた。ビリーは自分の爆発寸前の理性を何とか繋ぎとめながら口を開いた。
「俺はお前を大切にしたい…傷付けたくないんだ。それに…」
ビリーが口ごもり、レベッカが「それに?」と首を傾げた。暫くし、ビリーは観念したように口を開いた。
「その…お前は初めてだろ?だから、お前の初めてを俺が飾れるか自信がない」
レベッカは考えた様子を見せたが、直ぐにニッコリと微笑みビリーの頬に手を添えた。
「ビリー、私は貴方を愛してるわ。凄くね。貴方も私を愛してくれてるでしょ?」
「もちろんさ」とビリーは頷き、レベッカの手に自分の手を添えた。
「それだけでいいじゃない。…だけど、貴方が初めての女が面倒臭いなら話しは別だけど」
レベッカが一瞬顔を少ししかめたが、ビリーが握ったレベッカの手に優しくキスをした。
「そんな事あるわけないだろう。むしろ光栄だよ、チェンバース巡査」
「ふふっ。本当かしら?」
「ああ、嘘つく意味がないだろう?」
そうね、とレベッカはクスクスと笑い、ビリーはそんなレベッカを抱き寄せた。
「じゃあ一先ず、ベッドに移動しようか」
「…お手柔らかにお願いします///」
「ククッ…さぁな、どうだろ」
「えぇ!?」
「まぁ、最善は尽くすさ」
ビリーはレベッカの額にキスを落とし、ふわりとレベッカを抱き上げた。
さぁ、夜はまだ明けないのだから。
***