Fall in your song!

□#37
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名前は顔をしかめた。
――ここまでマズいことになっているとは思わなかった。一言で表すならば、“厄介”だ。
3回を過ぎた時点でカウントするのを諦めた言葉を、彼女はもう一度繰り返した。

「――やり直し」

そう言葉を添えて見ていた楽譜を突き返せば、元々影のあった表情がさらに暗くなる。
担当アイドルの専属作曲家のスランプも厄介だが、名前にとっては厄介事がもう一つ、同時に発生していた。
咎めるような責めるような、そんな突き刺さる6つの視線を感じながら、名前は椅子に抱えた片足を乗せながら本に羅列された文章を目で追う。

ああ、本当に“厄介”だ。


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