Fall in your song!

□#31
1ページ/5ページ



年明け、ST☆RISHのマネージャー職に復帰した名前は健から仕事を引き継いだその日、深くため息をついていた。

「何とか一段落ついた……。疲れたー……」

ソファに寝そべった名前を、メンバーも春歌も穏やかな笑顔を以って見つめる。

「お疲れ様です、名前ちゃん。はい、ハーブティです。疲れがとれると思いますよ」
「ありがと、那月さん」

身を起こした名前は那月からカップを受け取って、良い香りのする紅茶を一口飲んでテーブルに置く。
だるい。立ち上がるのも面倒だ。けれどそうも言っていられない。明日から本格的に名前はマネージャーとして働かなくてはならないのだから。

「あー……。もう、寝るね、私」

ふらり、と立ち上がった名前はみんなに、おやすみ、と告げて、同じように返されて、トキヤからだけは柔らかな笑みも添えられてリビングを出た。
部屋に入ってすぐにベッドに潜り込む。
何となくボーっとする。胃のあたりに何かがわだかまっているようだ。
――まあ、寝れば治るでしょ。
小さく欠伸を漏らして、名前は布団を引きあげた。







ふと目が覚めた名前は顔をしかめて枕元の目覚まし時計に手を伸ばす。
目に映ったデジタル表示は、夜中の2時を知らせてきた。

「……まだ寝てから2時間くらいしか経ってないし」

呟きながら、さらに顔をしかめる。
気持ち悪い。胃か、さらにその少し上のあたりがムカムカする。
吐きそう、か……?
起き上がるだけでも気持ち悪いが、そこは我慢してトイレに向かい、座りこむ。
そのまま舌打ちをした。
完璧に体調を崩した。でも吐けば治る。確信はないけど、多分。そんな気がする。
しかし待っていても自身の体が胃の内容物を戻す気配は訪れない。
のろのろと立ち上がった名前は、まだ胃が不快感を訴えるのを無視して再びベッドに潜り込む。
寝れば治るかもしれない。いや、治っていて欲しい。
マジで。


.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ