Fall in your song!2

□#43
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今日は全員、仕事が早めに終わり、夕方には家に帰ってきていた。
しかし久々に仕事の終わりが早いというのに、真斗とレンの機嫌はよろしいとは言えなかった。

「……私、お風呂に入ってくるね」

急遽事務所の使い走りをしていた名前は、ふらふらと立ち上がり、浴室に向かった。
個人の部屋にシャワールームはあるが、湯を張るバスタブはない。ゆっくりと浸かり、疲れをとりたい時は、家に二か所ある浴室を使うに限る。ちなみに二か所ある理由は簡単。男女別、ということだ。
ゆっくりと熱い湯に浸かりながら、はあ、とため息をつく。

「どうしようもないんだよなー……」

真斗とレンのことである。
彼らはこのあと、家から呼び出しがかかっており、誰のか知らないが生誕パーティーに出席することになっていた。
それが嫌らしいことは分かったのだが、なんせ名前には打つ手がない。出席するのが嫌なのは分かる。分かるが、勝手に欠席しなよ、とも言えない。
まあ、せめて、笑顔でお見送りくらいはしよう、と風呂からあがり、服を身につけ始めた。しかしジーンズを穿いた時、持ってきたケータイが脱衣籠の中で鳴動する。発信者を見て、名前は呻いた。

「げ…母さん……」

せっかくリラックスできて、いい感じに疲れがとれていたというのに。
出ない、という選択肢はない。そんな選択肢を選んでしまったら、彼女が帰ってきた時に何をされるか分かったものじゃない。

「もしもーし」

若干テンションの低い声で出てやれば、予想通り、ロクでもないことを相手は言い始めた。


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