Fall in your song!2

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「改めまして、名前の母の、苗字アヤメです」

ニコッと笑う自分たちのマネージャーの母親に、彼らも口ぐちに自己紹介をする。

「一十木音也です」
「一ノ瀬トキヤです」
「来栖翔です」
「四ノ宮那月です」
「神宮寺レンです」
「聖川真斗です」
「七海春歌です」

そして一斉に、礼。

「「名前さんにはお世話になってます」」
「ご丁寧にメンバーは五十音順での紹介をありがとう。こちらこそ、娘がお世話になっております」

深々と頭を下げるマネージャーの母親に、いえこっちのが、と手を振る。
うふ、と笑ったアヤメはメンバーと春歌を一人ひとりじっくりと見回す。

「……と言っても、みなさんのことは知ってるわ。早乙女さんから聞いてるし、娘と関わる人たちだもの。調べないわけじゃないわ」

最後の一文に、なぜか背筋を得体の知れないものが撫で上げる感覚を味わった。
名前の母親だ。一言〈調べた〉とは言っても、その内容がおよそ一般からかけ離れていても不思議ではない。
夕食のスパゲッティをフォークに絡ませながら、次いで彼女は衝撃的な言葉を放つ。

「まあ、7人中4人は元々知っているのだけれどね?」
「その4人って……?」

春歌の問いに食事の手を再開するよう薦めながら、アヤメは一人目を挙げた。

「まずは来栖翔くん」
「俺!? え、どこかでお会いしましたっけ?」

びっくりして結局食事の手を止めた翔に、アヤメは首を振る。

「会ったことはないわ。知っているだけ。会ったというのなら、あなたのお父さまよ。スタイリストさんよね?」
「! はい」
「ふふ。お話には伺ってたのよ。空手、出来るんですってね。腕を掴まれた時にもしかしてって思ったけれど、投げた時に確信に変わったわ」
「……」

そんなところで確信しないで欲しい。

「そして御曹司2人組」
「「コイツと一緒にしないでください」」

異口同音に言い放っては同じタイミングで嫌な顔をする彼らにアヤメは笑う。

「あなたたちも直接会ったことはないけれど、お家の方にはよく“ご協力いただいている”わ」
「ご協力……」
「いただいている……?」

気になる部分を分かち合って訝る彼らをそのままに、アヤメはフォークを置いた。

「そして最後。一ノ瀬トキヤくん」
「……」
「あなたのことは知っているだけじゃなくて、実際に会ったこともあるわ。一緒にお仕事したもの」
「……一緒に?」

眉を顰めて反芻すると、相手はニコニコ笑って両手を合わせた。


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