Fall in your song!

□#25
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ステージそでまで春歌がついてくる。
ぎゅっと両手を胸の前で握りしめて、不安に押しつぶされそうな顔で俯いていた。

「……大丈夫」

音也の断言するような言葉に、春歌が顔を上げる。
するとメンバー全員が彼女を見ていた。

「自分の歌に、自信を持っていいぜ」
「そうですよ」
「この歌ならいけるさ。絶対」
「俺たちは全員そう思っている」
「みなさん……」

うっすらと、春歌の目に涙が滲んでくる。
トキヤが彼女に微笑みかけた。

「私も、信じています。あの歌が名前に届くことを」

会場内にいなくても、このライブはテレビでもネットでも中継されている。
ちらっと、一瞬でもいい。彼女の目に自分たちが止まってくれることを、その歌声を聞いてくれることを、ただ祈る。もしライブを見ていなかったとしても、出したCDをラジオや街中で聞いてくれるかもしれない。その時に、彼女に自分たちの想いが届けば。
前の人の出番が終わったため、拍手が観客席から送られる。
春歌が強い意志を秘めた目をメンバーに向けて、笑った。

「頑張って下さい! ここで、待ってます」

ハッとメンバーが目を見開く。
そんな彼らの反応を見透かしていたのか、そのまま春歌は続けた。

「それと……、みなさん、歌は好きですか?」

デビューライブとなったあの日、ST☆RISHがステージに上がる前。

『頑張ってください! ここで、待ってます』

春歌がそう言った。メンバーが頷いたら、名前がたった一つの質問を彼らに投げかけた。

『みんな、歌は好き?』

その場面を、みんな覚えている。だからこそ、彼らはあの時と同じように言い切った。

「「当然」」

嬉しそうに笑みを深めた春歌は、あの時の名前と同じように、ステージへの道を開ける。

『じゃあ、』

「楽しんできてくださいね!」

メンバーは彼女の横を通り過ぎる時、一人ひとり、肩を叩いた。
それは、任せろ、とでも言うように、力強く頼もしい行為だった。


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