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□これが猫たちの日常
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※まぐりん
「これは可愛い人ですね」
「はい?」
ふと後ろから声を掛けられた。声の主はなかなかの美少年。紫色の髪の毛をもった男の猫だ。
「可愛いお嬢さん。真っ赤な毛がとても素敵ですね。どうです、こんなに月が綺麗なんですから、僕と一緒に遊びませんか?」
何を言い出すのやらこの美男子猫。私はどうやらナンパされているらしい。
「申し訳ありませんが、お断りします」
ニッコリと微笑んでそう答えた。しかし帰ってきた言葉は予想もしなかった。
「そんなつれないところも素敵だ☆一層あなたのことを好きになりましたよ」
そうきたか。まったく困ったものだな。
それに気のせいだろうか。
ーーー彼の目が、一瞬光った気がした。
これが猫たちの日常。
赤毛の猫さんは黒の猫さんと仲良しさん。
どうしてか、なんでか。
彼女達の周りには不幸が起こるのです。
黒の猫さんは死んじゃった。あまりのストレスに身を投げちゃった。
赤毛の猫さんはそれを期に町を出た。
この町には、あまりにも、彼との思い出がいっぱい過ぎるよ。
赤毛の猫さんたくさん泣いた。泣いて泣いて、その緑の瞳から涙という液体を全部流しだして。
今を生きているのです。
「君のためにも、私は生きるよ」
まぐろ君。
その名前を聞いて耳が揺れたのは、紫色の猫さんでした。
「こんにちわ、お嬢さん」
「うげ・・・」
ついでてしまったそんな言葉。いい加減、しつこいと思う。
「ひどいなぁ。あ、それより少々お話ししたいことが」
「・・・なんですか?」
「そんなに構えなくても・・・まぁいいや。その話というのは、一緒にオーロラを見に行かないか。というものなんです」
「オーロラ?」
「ええ、ここから遥か遠い国に旅して見に行くんです、キレイだよ☆たぶん君のほうがもっとキレイだけど」
「正直ですね、でもそんな言い方じゃ、心は揺らぎません」
それが大ダメージだったよう、机に突っ伏してしまった。
次にがば、と起きたときにはその顔は、何かを決心していてーーーー
「それなら仕方ないせっかく“りんごちゃんと一緒に行けると思ったのに・・・」
「残念でしたね。他の雌猫と…え」
・・・・・・いや、それはおかしい。だって彼は死んだのだから。でも・・・・・・
「まぐろ君・・・?」
しつこい猫はニタリと笑った。
「さぁ、どうだかねぇ?」
「え、嘘。本当にまぐろ君!!?まぐろ君でしょ!!!?」
ねぇ、何で生きてるの?
君にまた会うために。
それから数ヵ月後。
仲のいい猫が二匹、一緒にオーロラを見ていたそうな。