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□鏡の魔女 第一話
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自分は夢でも見ているのだろうか。だってそうだろう。目の前にいる「もの」はまちがいなく。
「あなた・・・一体何なの・・・・・?」
まちがいなく、自分自身なのだから。
相変わららず天気がいい。ここ最近大きな出来事はこれといってなく、アミティたちは平凡な毎日を送っていた。平和だなと、アミティは青い空を見上げて思った。
しかし、その平和も壊れてしまう気がしてならない。数日前から何かを感じるのだ。それが何なのか、正直うまく表現はできない。でも危険なものであることは確か。前にも一度、エコロがりんごたちの世界にアミティたちをぷよと共に送り飛ばした時と同じ感じだ。
ふと街道にある鏡に自分がうつった。それだけならまだいいのだが、何か視線を感じるのだ。そう思うと急に方向転換し、走り出した。この場から逃げなければいけない。そうアミティは思ったのだ。
しかし、アミティは立ち止まった。というのも、気配を感じるのだ。数日前から感じる何か、それと同じ気配が、いやそれよりももっと大きい気配。その気配が感じるのは十字路の右の道から。
アミティはその道の奥にいってしまった。その先に、何が待ち構えているのかも知らずに。
奥には意外な人物がいた。
「あやクル・・・?」
「その名で呼ぶな!!!」
奥にいたのは怪しいクルーク、つまりあやクルだ。そう呼ばれると彼はぶすぅ、といかにも不機嫌そうに顔を歪ませた。
「ともかく、お前はどうしてここにいる?たまたま来た・・・わけではないな。こんな人が来ないところに」
「えっと・・・なんか変なの感じて・・・」
「・・・・・・お前は変なものを感じとるとそこに向かうのか?」
「ごめん・・・」
「あれれ〜?先客がいるねぇ」
二つの声とは違う声が、急に現れた。アイティも、あやクルも知っている。この声は
「エコロ!!?」
「貴様、旅に出たのではないのか?それとも・・・またこの世界に何かもたらす気か?」
睨み付けられているにも関わらず、エコロはにやにやと笑っている。その余裕が余計あやクルのかんにさわった。アミティはそれを知ってか少しおどおどとした様子で二人を見ていた。
「残念だけどそうじゃあない。僕も気になったんだよ。世界に異常をもたらしている魔力の源がどこにあるのか」
「やっぱり、異常が出ているの?最近、色々と変な感じがして・・・」
「それはきっと世界が消滅した時に生まれるエネルギーだね。君はそれを感じとっているんだよ」
「エネルギー、だと?いや、それよりも世界が消滅とはどういう・・・」
「そのままの意味さ。今、ここじゃない世界が次々と無くなっていってる」
それを聞いてアミティは耳を疑った。世界が、消えていっている?そんなことがありうるのだろうか。
「安心しなよ。今のところ君たちに関係する世界は消されていないよ。でも時間の問題だろうね」
「・・・その世界を消滅させる程の魔力の持ち主は、この先にいるのか・・・?」
ちらりと、“この先に視線を送る。そこには禍々しい色の渦が巻いていた。
「気持ち悪い・・・」
ぼそりと、アミティは呟いた。確かに、誰から見てもこれは気分を害するものだ。だから、とエコロは言葉を紡ぐ。
「帰るなら今だよ?赤ぷよ帽子のお嬢ちゃん」
「いや・・・確かに怖いけど・・・でもやっぱ気になるし・・・いくよ。いかなくちゃいけない気がする」
「ふーん・・・」
エコロもここは流石に空気を読む。というかあやクルから送られる視線が怖くて言わなかったのだ。流石女神だっただけある。なんて、この場を(というかアミティを)さらに混乱させるだけだ。だからそっか。の一言で終わらせた。
「(・・・・・・)」
この時のこの様子を、近くにある鏡のかけらから見られていたなんて、アミティたちは思うわけなかった。