捧げ物(ブック)

□貴方の誕生日を共に
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季節は夏の暑さが過ぎた秋。プリンプ魔導学校は夕日に照らされ、白い校舎は茜色に染まりきっていた。太陽が空を茜色に染め始めると、殆どの生徒が下校してしまうため、校舎の中に人気は無くなる。そんな校舎のある一つの教室から、カリカリいう、紙にシャープペンの先が走る音がした。

教室内を覗くとそこには桃色の少女が、なにやら懸命にメッセージカードに言葉を綴っていた。教室内を覗いた当の本人は、何をしているのかという疑問と、まだ帰ってなかったのかという安心に心を埋め尽くされる。

ガララ、と扉が開いたときに音を立てたが、桃色の髪の少女は気づいてないらしく、ただ黙々とメッセージカードに言葉を綴っていた。


「なんだ、まだ帰ってなかったのかい?」


突如の如く上から降ってきた声に、桃色の少女―――ラフィーナは慌てて両手でメッセージカードを覆い隠した。そしてガバ、と視線を声の方向へと向ける。その頬は夕日のせいか、それともラフィーナが赤くしているのか。微かに赤みを帯びていた。


「く、クルーク。まだいましたのね」

「委員会さ。しかも委員長だから仕事が長引いてね。まったく、委員長は辛いよ」


やれやれと肩を竦める彼に対し、ラフィ−ナはふうん、と興味が無いように呟いた。

彼に話しかけられようやく気づいたのは下校時間はとっくに過ぎていたこと。今残っているのは部活動に勤しむ者たちぐらいだ。この時間は流石に家のものにも迷惑をかけると考えた彼女はすぐさま帰りの用意をする。それによってメッセージカードから手がずれ、可愛らしいくも綺麗とも言える文字が露にされる。クルークの口はその文字の内容を言葉に出して呟いた。


「『この度はお誕生日おめでとうございます!姐さまのこれからの一年が、すばらしきものであることを願いますわ!!』…か。ずいぶんと可愛らしい内容だね」

「…!こんのぉ……よくも勝手に見てくれたわね!デリカシーというものがあなたにはなくって!!?」

「相手は親戚、かな?」

「人の話を聞きやがれ!!…ですわ」


す、と一呼吸して、彼女は冷静を取り戻した(いつもなら冷静のれの字すら感じられないくらいに怒るのに、というのは口に出さなかった)。


「親戚ではありませんわ。ただ毎年お世話になっていて、それで彼女が今月の15日誕生日ですから…メッセージをと」

「なるほどね…」

「とっても優しいお方ですわ」


ラフィーナは、その時めったに見s内優しくも幼い笑みを見せた。それだけでも、クルークの心が音を立てるのは簡単だった。それぐらい綺麗な笑みなのだ。

高鳴る自分の心を落ち着かせ、いやみの一つか二つ、言ってやろうかと思ったが、やめた。代わりに可愛らしく微笑む彼女に、そして彼女が幸せになって欲しいと願う人に向けて。


「これからの一年が幸せに…なるといいね」


そう呟いた。彼女は驚いた顔をしたが、やがて笑って、ええ、と返した。


帰り道、クルークとラフィーナの影は重なって、帰っていた。クルークの手には彼女の左手、そしてラフィーナの右手にはオレンジバラの花束が存在感を出している。その花束には彼女の書いたメッセージカードが、一枚。可愛らしくも存在感ををだしていた。


end

-----------------------------------------<あとがき>

まず謝らせていただきます!本っ当に申し訳ございません!!はおみ姐さん。お誕生日、おめでとうございます!orz

本当に遅くなり申し訳ございません。しかも勝手に書いてしまったものなので、煮るなり焼くなり、また不快に思われたなら削除なりしますので。

ともかく、おめでとうございます!はとみ姐さんのこれからの一年が、すばらしいものでありますように!

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