純情エゴイスト
□夏のひと時
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今日は何だかとても暑い...
そんな事を思ったところで涼しくならない事はとおに知っているが。
それに、俺の近くにいるコイツもだ...
「はあ...」
うちわでパタパタしながら、気にならない振りをして横で寝ている野分の顔を覗いて見る...。
コイツすやすや寝過ぎ。
...疲れてんのかな?
医者の研修医とかってのも結局は医者みたいなもんだしな...。
「.............。」
野分の顔見てたら...
「お前あんま寝てっと、キス...するぞ?」
とか曖昧な事を言いつつ俺は既に野分に顔を近づける。
「...俺嬉しいです。」
野分は嬉しそうに、黒の瞳をまん丸くさせ、俺に言ってみせた。
「どああぁあぁあ!!」
「...どうぞ、ヒロさん俺にしてください。」
おま...お前、いつから起きてたんだよ...
「っっ野分お前寝ぼけて空耳でも聞いたんじゃねえの?」
そうだ!俺ナイスアドリブッ!!
「でも、ヒロさんなんだか顔が赤いです。」
「はあ!?」
あ...あぁ!!
俺の馬鹿ッばかばかばかッ!!!
「あ...本当に赤くなりました。」
こ...こいつ...
「もう、いい...俺は部屋で本でも読んでるから。」